【10月17日 AFP】世界の湿地帯は過去100年余りでその半分が破壊され、水不足の深刻化に悩む人々の生活を脅かしているとする国連(UN)の報告書が16日発表された。

 飲み水の供給源となるほか、洪水や暴風雨から人々を守る役割も果たす湿地は、住宅や工場、農業のための土地を確保するために失われ、持続不可能な水利用や汚染によって傷つけられてきた。

 インド・ハイデラバード(Hyderabad)で開かれた国連会議に出席した国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)のアヒム・シュタイナー(Achim Steiner)事務局長は、「わずか100年余りの間に、私たちは世界の湿地の50%までをも破壊してしまった」と述べた。

 現在も進行中の研究プロジェクト「生態系と生物多様性の経済学(The Economics of Ecosystems and Biodiversity、TEEB)」がまとめたこの報告書によれば、アジアなど一部地域の沿岸では、湿地帯が年に1.6%の割合で失われ続けている。マングローブは1980年から現在までに全体の20%に当たる360万ヘクタールが失われ、現在も年に最大1%のペースで減少を続けているという。

 地球上の総面積が1300万平方キロメートルに及ぶとされる湿地帯は、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を吸収し、魚たちを育み、観光業を潤している。報告書によれば、湿地帯は米国だけで年に230億ドル(約1兆8000億円)相当の暴風雨被害を防いでいるという。(c)AFP