【9月28日 AFP】豪州西岸でサメに襲われて人が死亡する事故が多発していることを受け、オーストラリアのウエスタンオーストラリア(Western Australia)州政府は、浜辺に近づいて人間に差し迫った危険を及ぼしたサメを捕獲して殺処分することを決めた。

 ウエスタンオーストラリア州で起きたサメ襲撃による死亡事故は、過去1年間で5件というかつてない水準に達している。同州のコリン・バーネット(Colin Barnett)州首相は、追跡、捕獲、殺処分プログラムを盛り込んだ685万豪ドル(約5億5000万円)規模のサメ対策を発表した。

 ノーマン・ムーア(Norman Moore)水産相は、「これまでは人がサメに襲われてから捕獲や殺処分の命令が出されていたが、今後はサメが人間にとって差し迫った脅威になった時点で積極的な措置を取ることになる」と述べ、海水浴客の近くでサメが見つかった段階で予防的措置を取ることが可能になると説明した。

 サメ対策では、捕獲・殺処分、追跡装置取り付け・追跡プログラム、サメの研究のそれぞれに200万豪ドル(約1億6200万円)が投じられる。追跡システムは既に導入されており、人の多い場所にサメが近づくとソーシャルメディアを通じてリアルタイムで警報が出されるようになっている。
 
 残りの資金は、海をパトロールするライフガード用のジェットスキーを増やすほか、サメの襲撃を防ぐ囲いの実験やスマートフォンで利用できる警報アプリケーションの開発などに充てられる。

 ウエスタンオーストラリア州での死亡事故の多くは、映画『ジョーズ(Jaws)』で有名になったホホジロザメによるもの。ホホジロザメは最大で体長6メートル、体重2トン程度で、世界のサメの中でも最も大きい部類に入る。 (c)AFP