【9月11日 AFP】オーストラリア政府は11日、「スーパー・トロール船」と呼ばれる超大型漁船の同国領海内での操業を防ぐため、環境保護法の修正に着手した。

 スーパー・トロール船をめぐっては今年、オランダ船籍の「マルギリス号(FV Margiris)」(9500トン)によるタスマニア(Tasmania)島沖での漁獲計画が発表されてから、混獲による海洋生態系の破壊に対する懸念を背景に環境保護団体や地元漁業関係者から抗議の声が上がっていた。

 マルギリス号は最近になって「アベル・タスマン号(Abel Tasman)」と改名され、現在はオーストラリア南部ポートリンカーン(Port Lincoln)の港で出港準備を行っている。しかし修正案が豪議会を通過すれば、同号が環境に与える影響を評価するための科学調査が終了するまで最大2年間にわたり、豪州領海内での操業が不可能になる。

 同号の大型網によってイルカやアシカ、海鳥といった海洋生物が混獲されてしまうのではないかという懸念を受け、中道左派の労働党は11日、トニー・バーク(Tony Burke)環境相の権限を拡大し、同号による漁業行為への介入を可能とする修正法案を同日中に議会に提出すると発表した。

 一方、豪水産管理局(Australian Fisheries Management Authority)はスーパー・トロール船による乱獲の懸念を否定しており、アベル・タスマン号が取ることを許されているのは漁が可能な水産資源の1割までで、より大局的には海洋生態系に与える影響は皆無か、あってもごくわずかだと主張している。

 同号を操業するオーストラリアのシーフィッシュ・タスマニア(Seafish Tasmania)社はシドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)紙に対し、豪政府を相手取り訴訟を起こす可能性もあるが、「まだそこまでには至っていない」と述べている。(c)AFP