【8月7日 AFP】近年、世界各地で増加している夏の猛暑は人類の活動により進む気候変動に起因し、つい20年前に出された予測よりも状況は悪くなっているという米航空宇宙局(NASA)の科学者の見解が、4日の米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に掲載された。

 NASAゴダード宇宙研究所(Goddard Institute for Space Studies)のジェームズ・ハンセン(James Hansen)所長は同紙の記事の中で、1988年に米上院でハンセン氏自身が述べた将来の温暖化についての厳しい見通しでさえも、「楽観的すぎた」と語っている。

「告白せねばならない。私は楽観的すぎたのだ」とハンセン氏は述べ、「地球温暖化の私の予測は正しかった。だが私は、平均気温上昇による異常気象増加がどれほど早く起きるかについて十分な検討を怠っていた」と続けた。

 ハンセン氏とその研究チームが米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)で発表した論文によれば、過去60年間の地球の気温を分析した結果、「極度に暑い夏が訪れる頻度が驚くほど増加していた」とされる。

 ハンセン氏によれば、研究チームが行った分析はモデルや予測に基づいたものではなく、「これまでに実際に観測された気象現象や気温」などのデータに基づいたもので、温暖化により将来だけではなく、既に現在のわれわれにも多大な悪影響が生じているという。

 論文は次のように指摘している:温暖化により地球の気温は着実に上昇を続けており、ここ100年間で0.8度上昇した。極端な気象現象がより頻繁に発生するようになった。

 ハンセン氏によれば、2003年に欧州を、2010年にロシアを襲った熱波や、前年の米テキサス(Texas)州とオクラホマ(Oklahoma)州で発生した大規模な干ばつは、全て気候変動が原因だという。さらに、現在米国を苦しめている極端に暑い夏についても温暖化が原因だとの結論が、向こう数週間以内に終わるデータ収集によって導き出される可能性が高いとした。

 地球温暖化に懐疑的なことで知られていた米国の著名な研究者リチャード・ムラー(Richard Muller)氏は前週、データを詳細に分析した結果、これまでの主張を裏付ける根拠は存在しなかったと述べ、それまでの持論を180度転回し「地球温暖化の原因はほぼ全て人類にある」との見解を発表している。(c)AFP