アジアから飛来した粉じんが北米を汚染、NASA
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【8月6日 AFP】アジアから太平洋を越えて北米に届いた塵(ちり)やエアロゾル(煙霧質)が米国やカナダの大気を汚染しており、おそらく気候変動の悪影響にも拍車をかけているとする米航空宇宙局(NASA)の研究が、2日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。
自然の塵と汚染物質とを区別できる米仏の地球観測衛星カリプソ(CALIPSO)のデータに基づいて行われた研究によると、北米では自然界の過程に加え、運輸や工業から生じるものを合わせて毎年約6900万トンのエアロゾルが発生している。さらに、気候や人体に影響する可能性のある塵や微粒子約6400万トンが毎年、太平洋を渡って到達しているという。
アジアから飛来したエアロゾルは太陽放射線を吸収し、雲の形成や降雨降雪のパターンを変え、北米西部の山地の雪解けを早めるなど、環境に悪影響を与えている恐れがある。
またエアロゾルは太陽光を宇宙に反射し返すため、地球を冷却する効果もある。研究チームは今回、北米で起こっている太陽放射エネルギーや日射の減少の3分の1は、北米以外から運ばれた微粒子などが主な原因であることを発見した。
論文の共著者、メリーランド大学(University of Maryland)のロレイン・リーマー(Lorraine Remer)氏(大気学)は「地球の各地で、(こうした塵や微粒子によって)われわれが予測する温室効果ガスの影響が覆い隠されている可能性がある」と指摘している。
エアロゾルの発生は日照りや干ばつ、砂漠化などによって増えるため、1つの国や北米地域だけが汚染を削減する努力をしても十分ではなく、世界が一体となって取り組む必要があると論文は述べている。
今後は、実際どのように塵が気候に影響を与えているのかを研究する必要がある。論文は「塵の放出は風や降水、植生といった気候の変化に反応し得る。従って、塵と気候の間の相互作用についてさらによく理解することが不可欠だ」と指摘している。(c)AFP
自然の塵と汚染物質とを区別できる米仏の地球観測衛星カリプソ(CALIPSO)のデータに基づいて行われた研究によると、北米では自然界の過程に加え、運輸や工業から生じるものを合わせて毎年約6900万トンのエアロゾルが発生している。さらに、気候や人体に影響する可能性のある塵や微粒子約6400万トンが毎年、太平洋を渡って到達しているという。
アジアから飛来したエアロゾルは太陽放射線を吸収し、雲の形成や降雨降雪のパターンを変え、北米西部の山地の雪解けを早めるなど、環境に悪影響を与えている恐れがある。
またエアロゾルは太陽光を宇宙に反射し返すため、地球を冷却する効果もある。研究チームは今回、北米で起こっている太陽放射エネルギーや日射の減少の3分の1は、北米以外から運ばれた微粒子などが主な原因であることを発見した。
論文の共著者、メリーランド大学(University of Maryland)のロレイン・リーマー(Lorraine Remer)氏(大気学)は「地球の各地で、(こうした塵や微粒子によって)われわれが予測する温室効果ガスの影響が覆い隠されている可能性がある」と指摘している。
エアロゾルの発生は日照りや干ばつ、砂漠化などによって増えるため、1つの国や北米地域だけが汚染を削減する努力をしても十分ではなく、世界が一体となって取り組む必要があると論文は述べている。
今後は、実際どのように塵が気候に影響を与えているのかを研究する必要がある。論文は「塵の放出は風や降水、植生といった気候の変化に反応し得る。従って、塵と気候の間の相互作用についてさらによく理解することが不可欠だ」と指摘している。(c)AFP