【8月3日 AFP】南極沖の海底掘削調査で、現在は氷に閉ざされている南極大陸が5200万年前には亜熱帯雨林に覆われていたことを示す痕跡を発見したという論文が2日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。

 2010年に東南極大陸沖の海底を掘削して採取された堆積物コアを詳しく調べた結果、始新世(5600万~3400万年前)に南極大陸を覆っていた亜熱帯性の森林のものとみられる花粉の化石が見つかった。

 調査に参加した豪クイーンズランド大学(University of Queensland)の古気候学者、ケビン・ウェルシュ(Kevin Welsh)氏によれば、コアから見つかった温度感受性のある微粒子を分析したところ、5200万年前の南極大陸は気温が約20度と非常に温暖で、氷は存在せず森林に覆われていたとみられることがわかった。

 温暖な気候の主な原因は、大気中の高い二酸化炭素レベルにあったとみられている。ウェルシュ氏によれば当時の二酸化炭素(CO2)濃度は990~数千ppmに上っていた可能性がある。現在のCO2濃度は395ppmと推定されており、国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)による最も極端な予測に従えば南極の氷は「今世紀末までに」また解け始めるだろうとウェルシュ氏は述べた。

「これは人々と各国政府の行動に大きく左右されるので、はっきりと言うのは難しい。(CO2)排出量が将来どの程度の量になるかにかかっている」(ウェルシュ氏)

 ウェルシュ氏は、南極とその地表に蓄えられている膨大な量の水が地球全体に対して持つ役割の重要性からすれば、今回の発見は将来起きる気候変動を理解するにあたって「非常に大きな意味を持つ」と説明した。(c)AFP