【6月7日 RenewableEnergyWorld.com】完成までに10年かかることを考えれば小さな節目にすぎないかもしれないが、米内務省は5月14日、米バージニア(Virginia)州からニュージャージー(New Jersey)州に延びる350マイル(約560キロ)の海底送電線の環境影響評価報告書を受けて、「大西洋風力プロジェクト(Atlantic Wind Project)」の作業を進めることにゴーサインを出した。

 洋上風力発電業界はこれまで大西洋岸への進出に苦戦してきたが、送電ケーブルが海底に敷設されれば洋上風力発電の基幹送電線になるだろう。

 55億ドル(約4300億円)規模のこの事業は、米グーグル(Google)とベルギーの送電事業者エリア(Elia)という極めて大きな後ろ盾を得ている。洋上風力発電による最大700万キロワットの電力の統合が可能になり、米東海岸の複数の主要都市に電力を供給することになるだろう。

 大西洋風力プロジェクトはこの数週間のうちに提案された多数の大規模国際送電事業のひとつだ。こうしたプロジェクトの多くは、再生可能エネルギー源と遠く離れた人口密集地域をつなぐという目標を掲げている。

 アイスランドは地熱エネルギーによる電力を、約1000マイル(約1600キロ)離れた英国に届ける海底送電線計画を発表した。中国は拡大する人口密集地域にソーラー発電、風力発電による電力を届ける電力スーパーハイウエー(大電力の長距離送電が可能な送電系統)の建設に着手した。

 長年ライバル関係にあるが共に南アジア地域協力連合(South Asian Association for Regional CooperationSAARC)に加盟しているインドとパキスタンは、加盟国間の電力融通を可能にする域内送電網の建設について協議中だ。(c)RenewableEnergyWorld.com/AFPBB News

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再生可能エネルギー専門サイト、RenewableEnergyWorld.comにこの記事の原文(英語)が掲載されています。