【5月10日 AFP】太平洋ごみベルト(Great Pacific Garbage Patch)と呼ばれる北太平洋の広大な海域に浮遊するプラスチックごみが、過去40年余りの間に100倍以上に増えたとする米カリフォルニア大学(University of California)の研究結果が9日、英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)の電子版に発表された。

 特に大きさが5ミリ未満のマイクロプラスチックと呼ばれる粒子が「プラスチックのスープ」状になって太平洋の生態系を脅かしていると研究者らは警鐘を鳴らしている。

 論文によると、1972年から1987年にかけては、採集されたサンプルからマイクロプラスチックが見つかることはほとんどなかった。しかし、今日、大量のごみが浮遊する北太平洋亜熱帯循環(North Pacific Subtropical GyreNPSG)、別名「太平洋ごみベルト」は、面積にして米テキサス(Texas)州に匹敵すると推定されている。

 国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)は、全世界の海で面積1平方キロにつき約1万3000片のプラスチックごみが見つかるが、中でも最も問題が深刻なのは北太平洋だとしている。有害化学物質を大量に含むこうしたプラスチック粒子を、海洋生物や鳥が吸い込んでいる。

 論文によれば、太平洋ごみベルトはウミアメンボという海洋性昆虫に新しい生息域を提供している。ウミアメンボはプランクトンや魚卵を餌とし、逆に海鳥やカメ、魚類に捕食される。一生を海で送るウミアメンボは、漂流している木や軽石、貝殻などの硬い表面に産卵する。マイクロプラスチックの帯が今後さらに密度を増せば、産卵場所が増えてウミアメンボの数が増え、動物性プランクトンや魚卵が食べ尽くされていく可能性があるとこの論文は警告している。(c)AFP