【5月3日 AFP】地球温暖化が植物に与える影響をシミュレーションした実験で、実際に世界で起きている事態が過小評価されていると指摘する研究が、2日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 特に北半球を中心とした農業従事者や園芸家などからは、植物の季節ごとの成長や変化がこれまでよりもかなり早まっているという報告が上がっているが、今回の調査結果はこれを裏付ける内容だ。

 人工的に環境を設定して行われる地球温暖化に関する実験では通常、上部が開いた温室のような設備の中に植物を入れるか、屋根に小型ヒーターを付けた覆いで植物を囲い、気温上昇を再現する。こうした実験では気温が1度上昇するごとに、植物の開花や芽吹きが1.9~3.3日ほど早まるという結果が出ている。

 しかし今回の論文は北米、日本、オーストラリアの約20機関が実施した植物1634種に関する温暖化実験と、それらの植物の野生での長期的観察の比較に基づき、実際の温暖化の影響はもっと大きく、1度上昇するごとに開花や芽吹きは2.5~5日ほど早まると指摘している。

 論文は、実験においては光や風、土壌の湿度といった植物の季節変化に影響する気温以外の要素が十分再現されていないところに欠陥があるのではないかと述べている。

 国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が2007年に発表した第4次評価報告書(Fourth Assessment Report)によると、1906年~2005年の地表の気温上昇幅は0.74度。2011年には、二酸化炭素の排出が現在のペースで続けばさらに2度上昇するとの別の報告も出ている。

 しかし、これらの評価は控えめすぎ、地球上の多くの場所で世界全体平均よりもずっと速く温暖化が進んでいると指摘する専門家もいる。

 米コロンビア大学(Columbia University)地球研究所(Earth Institute)は、ワシントンD.C.(Washington D.C.)のサクラの開花時期が1970年代と比べ、約1週間早まっていると指摘。「この傾向が続けば、2080年には2月にサクラが開花してしまうという予測さえある」と警告している。(c)AFP