【4月16日 AFP】南極に生息するコウテイペンギンの数が、これまで考えられていたより2倍近くも多いことが、衛星マッピング技術を用いた最新の調査により明らかになった。

 12日の米科学誌「プロスワン(PLoS ONE)」に掲載された英国南極調査所(British Antarctic SurveyBAS)率いる国際研究チームの調査論文によると、確認されたコウテイペンギンの数は59万5000羽で、これまで推測されていた27~35万羽よりもはるかに多かった。

 論文の主筆者でBASの地理学者、ピーター・フレットウェル(Peter Fretwell)氏は「これほど多くのコウテイペンギンを発見、確認できたことを嬉しく思う」と話し、「宇宙からのコウテイペンギンの包括的な個体数調査は今回が初めてだ」と付け加えた。

 コウテイペンギンは体高が最大のもので1.2メートルあり、ペンギンでは最も大きな種だ。

 衛星画像には、氷上にペンギンたちの白と黒の体がはっきりと捉えられており、研究チームは南極の海岸沿いに44のコロニーを確認した。このうちの7つは、今回新たに発見されたものだ。

 南極では、地球温暖化による氷床の融解が特に北部において懸念されている。これはコウテイペンギンの生息域にとっても脅威だ。

 共同執筆者のフィル・トラサン(Phil Trathan)氏は、この新しい個体数確認手法によって、今後のコウテイペンギン観察が容易になるかもしれないと話す。

「現行の研究から、気候変動がコウテイペンギンのコロニーに深刻な影響をもたらすと予測されている。南極全土を対象とした正確な個体数調査を容易かつ定期的に実施できるようになれば、この象徴的なペンギンに気候変動が及ぼす影響について、より正確に監視できるようになるだろう」(トラサン氏)

 この研究は、米スクリップス海洋研究所(Scripps Institution of Oceanography)、オーストラリア南極局(Australian Antarctic Division)が協力したほか、全米科学財団(National Science FoundationNSF)も資金提供している。(c)AFP