【3月21日 AFP】温室効果ガスの増加が海洋に与えるダメージによる損害額が、2100年には年間2兆ドル(約166兆円)近くに達するとの推定が、スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム環境研究所(Stockholm Environment Institute)が作成した報告書「Valuing the Ocean」で発表された。

 この推定は、二酸化炭素の排出が現状のペースで続くという仮定によるもの。海水温度の上昇により海洋の酸性化と酸素不足が進み、漁業やサンゴ礁に打撃を与えると報告書は警告している。

 また、海面上昇と暴風雨により、特にアフリカやアジアの沿岸地域で洪水被害のリスクが急増するとも予測している。

 報告書では、現在のペースで温暖化が進んだ場合、今世紀末までに地球の平均気温は摂氏4度上昇するとしている。

 この数字に基づくと、2050年の地球温暖化による損害額は年間4280億ドル(約36兆円)、全世界の国内総生産(GDP)の0.25%に達し、2100年までに1兆9790億ドル(約166兆円)、世界のGDPの0.37%を占めることになるだろうとしている。

 このように予測される温室効果ガスの増加によって、世界の漁業の未来は脅かされている。

 仮に温暖化ガス排出量が低位予測に沿って推移し、気温上昇幅を摂氏2.2度に抑えられたとすると、2050年の損害額は1050億ドル(約8兆8000億円、世界GDPの0.06%)、2100年には6120億ドル(約51兆2000億円、同0.11%)となると報告書では推測している。

 なお報告書は、損害額を推定するにあたり、海面上昇で島国が水没した場合の費用や、生命に必要不可欠な栄養再循環をはじめとする海洋の基本的な作用に温暖化が与える影響を考慮していない点に注意を促している。(c)AFP