【2月27日 AFP】香港航空(Hong Kong Airlines)に対し、イルカの空輸中止を求める声が高まっている。同航空がイルカを生きたまま日本からベトナムに輸送していることを示す内部メモが、中国メディアに流出したことがきっかけだ。

 中国国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は、1月16日に大阪からハノイに向けてイルカ5匹が輸送されたと報じた。5匹は、米ドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ(The Cove)』で話題を集めた和歌山県太地(Taiji)町のイルカとみられている。

 オンライン署名サイト「change.org」では、イルカ輸送の中止を求める署名が、すでに2800人以上分集まった。

 同署名サイトは「5匹のイルカが、太地町から『空飛ぶひつぎ』に入れられ貨物航空便として輸送された。イルカたちは7時間以上も非道な監禁状態に置かれた。イルカは貨物でも商品でも娯楽の対象物でもない」と、輸送を非難している。

■内部メモと写真が流出

 チャイナ・デーリー紙によると、流出した内部メモは香港航空が従業員にあてたもの。動物保護に配慮する記載は一切なく、85万香港ドル(約890万円)の収益をもたらした貨物輸送を「成功」と表現していた。

 同紙によると内部メモには、「(イルカのように)時間的な制約があるうえ繊細な特殊貨物を円滑に処理したことは、香港航空の貨物処理能力がますます向上したことを示すものだ。今回得た経験をもとに、香港航空は今後も同事業を推進する」と記されていた。

 また、メモには、ボーイング733F(Boeing 733F)貨物機内の狭く浅いコンテナに1匹ずつ入れられたイルカの写真が添付されていた。

■香港航空は適切な対応を主張

 こうした報道や批判に対し、香港航空側は生きた動物の輸送に関する政府規則や国際航空運送協会(International Air Transport AssociationIATA)の規制を完璧に遵守したと主張。「香港航空は動物の保護に全力を尽くしている。輸送中に苦しんだり、けがをしたイルカは1匹もいない」との声明を発表した。

 その一方で、同航空は「イルカをめぐる負の側面の問題については、その複雑性を全く認識していなかった」と付け加え、この点を知らせてくれたとしてた動物愛護団体に謝意を示した。(c)AFP