ヒマラヤ氷河の融解速度、従来予測の10分の1
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【2月9日 AFP】アジアに住む約10億人に水を供給しているヒマラヤ山脈で氷河や氷冠が融解し、失われている速度は、当初懸念されていた速度の10分の1程度だという研究結果が9日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。
2003~2010年に観測された衛星データの解析方法が向上し、明らかになったもので、氷河や氷冠、グリーンランドや南極を覆う大陸規模の氷床など、地球全体の凍結地域をこれまで算出した中で最も正確だという。
同観測期間中に融解した氷の量は、地球全体で約4200立方キロメートルに達した。これは、観測期間と同じ8年間で海面を1.2センチ上昇させることができる量だ。しかしその大半はグリーンランドと西南極氷床が融解した水で、氷河や氷冠の融解分は海面上昇値にして3.2ミリにすぎなかった。
論文の共著者で米コロラド大(University of Colorado)極地・高山研究所(Institute of Arctic and Alpine Research)のタッド・フェファー(Tad Pfeffer)教授は、特に「アジアの高山について我々の研究では、同期間中に年間4ギガトンの消失しか認めなかった。他の研究では年間50ギガトンという報告さえあるが、大きな違いだ」と述べている。
解析により、ヒマラヤの水の多くが失われているのは、ヒマラヤ山地のすぐ南側に位置する巨大な平原であることが明らかになった。そこでは古代の帯水層の水が、雨水による補給だけでは間に合わないペースで井戸からくみ上げられている。
同教授によると、これまでの衛星データに基づいた解析では、こうした帯水層からの水を誤って、氷河の融解分として計算するなどの誤りがあったという。
すでに地球温暖化の影響が出始めているアジア地域は、しばし猶予を与えられたかにみえるがフェファー教授は、だからといって破壊的な変化がなくなったわけではなく「氷河消失の速度は予測していたよりも遅かったが、水はやはり大量に失われている」と警告している。
現在の予測では21世紀末までに、海面は50~100センチ上昇すると予測されているが、新しい解析方法によって、上昇の程度や速度についていっそう正確な予測が期待される。(c)AFP/Marlowe Hood
2003~2010年に観測された衛星データの解析方法が向上し、明らかになったもので、氷河や氷冠、グリーンランドや南極を覆う大陸規模の氷床など、地球全体の凍結地域をこれまで算出した中で最も正確だという。
同観測期間中に融解した氷の量は、地球全体で約4200立方キロメートルに達した。これは、観測期間と同じ8年間で海面を1.2センチ上昇させることができる量だ。しかしその大半はグリーンランドと西南極氷床が融解した水で、氷河や氷冠の融解分は海面上昇値にして3.2ミリにすぎなかった。
論文の共著者で米コロラド大(University of Colorado)極地・高山研究所(Institute of Arctic and Alpine Research)のタッド・フェファー(Tad Pfeffer)教授は、特に「アジアの高山について我々の研究では、同期間中に年間4ギガトンの消失しか認めなかった。他の研究では年間50ギガトンという報告さえあるが、大きな違いだ」と述べている。
解析により、ヒマラヤの水の多くが失われているのは、ヒマラヤ山地のすぐ南側に位置する巨大な平原であることが明らかになった。そこでは古代の帯水層の水が、雨水による補給だけでは間に合わないペースで井戸からくみ上げられている。
同教授によると、これまでの衛星データに基づいた解析では、こうした帯水層からの水を誤って、氷河の融解分として計算するなどの誤りがあったという。
すでに地球温暖化の影響が出始めているアジア地域は、しばし猶予を与えられたかにみえるがフェファー教授は、だからといって破壊的な変化がなくなったわけではなく「氷河消失の速度は予測していたよりも遅かったが、水はやはり大量に失われている」と警告している。
現在の予測では21世紀末までに、海面は50~100センチ上昇すると予測されているが、新しい解析方法によって、上昇の程度や速度についていっそう正確な予測が期待される。(c)AFP/Marlowe Hood