【1月27日 AFP】国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)は25日、時間をかけても魚資源を回復させれば年間500億ドル(約3兆8800億円)の経済効果が望めるとした報告書を発表した。

 UNEPの報告書「Green Economy in a Blue World」によると、乱獲や適切な沿岸域管理の欠如によって、世界の魚資源はすでに32%も減少した。

 報告書は、漁獲量を適切なレベルまで削減して魚資源が回復すれば、潜在的な経済利益は毎年500億ドルに上ると予測。また、乱獲にくわえて、陸地での農工業活動がもたらす海水汚染と、サンゴ礁やマングローブなどの魚類の生息地の破壊が魚資源を減少させていると指摘した。

 その結果、水産業に従事する全世界の5億4000万人の生活が直接、脅かされることになると報告書は警告する。

 UNEPのアミナ・モハメド(Amina Mohammed)事務次長は、乱獲に並び、農業における肥料の過剰使用も大きな問題になっていると言う。溶けた肥料が海に流れ込むと藻が大量発生し、水中の酸素を大量に消費するため、魚が「窒息死」してしまうのだ。

 海洋専門家らによると、魚にとって酸素が欠乏した「死の海域」は、これまでに500か所確認されている。(c)AFP