【1月19日 AFP】米魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)は17日、真菌(カビ)が原因でコウモリが感染する「白い鼻症候群(White-nose syndrome)」が2006年に初めて確認されて以降、北米では推定570~670万匹のコウモリが死滅したと発表した。

 前回09年に発表された推定死亡数100万匹から急増した。米ニューヨーク(New York)州とバーモント(Vermont)州、カナダのオンタリオ(Ontario)州南部では、90%以上が死滅したとみられるという。

 白い鼻症候群は「Geomyces destructans」と呼ばれる真菌によって引き起こされる。米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)によると、冬眠中のコウモリで極めて致死率が高いが、冬眠する種には絶滅が危惧されているインディアナコウモリなども含まれている。

■病原菌は2000キロ移動

 コウモリの白い鼻症候群は、06年にニューヨーク州で初めて発見された。その後、2000キロを移動し、これまでに米国16州、カナダ4州で発症が確認されている。

 米魚類野生生物局は、農林業において害虫を駆除し、病気を人に媒介する昆虫をも退治してくれるコウモリが絶滅した場合のさまざまな影響を懸念している。最近の研究によると、自然の殺虫剤の役割を果たすコウモリが農業にもたらす貢献は、年間37億ドル(約2840億円)以上という。(c)AFP