ナイジェリアを救うか?エコな「ペットボトルの家」
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【11月7日 AFP】それは、どうにも奇想天外な発想に聞こえた――ナイジェリアの道路や運河、排水路に捨てられたペットボトルの中に人が住めるようにする、というのだ。
北部カドゥナ(Kaduna)に本拠地を置くNGO「再生可能エネルギー開発連合(Development Association for Renewable Energies、DARE)」の活動家たちが計画したのは、使用済みペットボトルを住宅建材として利用し、アフリカ最大の人口を誇る同国の住宅不足を緩和するという、「環境対策としてもスマートな戦略」だった。
第一号のペットボトル住宅は、北部カドゥナ(Kaduna)近郊のサボン・イェルワ(Sabon Yelwa)村の郊外に建設中だ。「ペットボトル製の家はアフリカ初。将来、ナイジェリアの住宅不足と環境汚染を解決する方策となるかもしれない」と、プロジェクト創始者のクリストファー・バシリウ(Christopher Vassiliu)氏は語る。同国で30年にわたって働いているギリシャ人井戸堀り技師だ。
プロジェクトは、英ロンドン(London)のNGO「アフリカコミュニティー・トラスト(Africa Community Trust)」の専門家らの支援の下、進められている。
■防火防弾、耐震性あり、3階建ても可能
開発中の灌漑(かんがい)農地に6月から建設が始まった家は、面積58平方メートルの平屋建て。円形の居間を中心に寝室2部屋と風呂、トイレ、キッチン、中庭を短い廊下でつないだ構造をしている。
一見、ありふれた住宅だが、建材は砂を詰めてキャップを閉めたペットボトルだ。それぞれ、重さは約3キロある。レンガのように重ねて泥とセメントで固め、ペットボトルの首をひもで縛って補強もしている。色とりどりのキャップの色は、壁面に独特の味わいを与えている。
プロジェクト関係者は、砂の詰まったペットボトルは一般的な軽量コンクリートブロックより強度が高いと主張する。「防火性、防弾性、耐震性の面でも優れている。室内は常に摂氏18度に保たれ、熱帯気候向きだ」と、プロジェクトコーディネーターのヤハヤ・アフマド(Yahaya Ahmad)氏。支柱を適切に設置すれば、最高で3階建てまで建設できるという。
■CO2排出ゼロのエコ住宅
このペットボトル・ハウス、二酸化炭素排出量ゼロの「ゼロ・エミッション住宅」でもある。太陽光パネルと、人や動物の排せつ物を利用するメタンガス発電で、使用するエネルギーを100%まかなう設計なのだ。
プロジェクトに参加する英国の環境活動家、カトリン・マクミラン(Katrin Macmillan)氏は、「ナイジェリアのごみ問題、エネルギー問題は深刻だ。このプロジェクトは、これらの問題解決に向けた小さな一歩だ」と話した。「埋め立て地に廃棄された場合、ペットボトルが分解されるまでには数百年もかかるのだから」
家は7割ほどまで建設が完了した。完成後は、ペットボトル住宅専門の建築職人を育成する施設として活用される予定だ。最終的に使用されるペットボトルは1万4000本に上るとみられる。大使館やホテル、レストランから大量のペットボトルが寄付され、建設現場に積み上げられている。
■2つの問題を一気に解決、価格も安く
環境専門家によれば、人口1億6000万人のナイジェリアでは、1日300万本のペットボトルが廃棄されている。他方、ナイジェリア当局によると1600万戸の住宅が不足しており、解消するためには45兆ナイラ(約23兆円)もの莫大な予算が必要となる。
ペットボトル住宅は、バシリウ氏によれば一般住宅の4分の1の費用で建設することができる。今回の建設計画にかかる総工費は200万ナイラ(約100万円)と見込まれている。
第二号のペットボトル住宅の建設計画も来年1月に始まる。首都アブジャ(Abuja)近郊のスレジャ(Suleja)で、教室不足の小学校に新たな教室を建設する計画だ。マクミラン氏は「約20万本のペットボトルが入用になる」と語った。(c)AFP/Aminu Abubakar
北部カドゥナ(Kaduna)に本拠地を置くNGO「再生可能エネルギー開発連合(Development Association for Renewable Energies、DARE)」の活動家たちが計画したのは、使用済みペットボトルを住宅建材として利用し、アフリカ最大の人口を誇る同国の住宅不足を緩和するという、「環境対策としてもスマートな戦略」だった。
第一号のペットボトル住宅は、北部カドゥナ(Kaduna)近郊のサボン・イェルワ(Sabon Yelwa)村の郊外に建設中だ。「ペットボトル製の家はアフリカ初。将来、ナイジェリアの住宅不足と環境汚染を解決する方策となるかもしれない」と、プロジェクト創始者のクリストファー・バシリウ(Christopher Vassiliu)氏は語る。同国で30年にわたって働いているギリシャ人井戸堀り技師だ。
プロジェクトは、英ロンドン(London)のNGO「アフリカコミュニティー・トラスト(Africa Community Trust)」の専門家らの支援の下、進められている。
■防火防弾、耐震性あり、3階建ても可能
開発中の灌漑(かんがい)農地に6月から建設が始まった家は、面積58平方メートルの平屋建て。円形の居間を中心に寝室2部屋と風呂、トイレ、キッチン、中庭を短い廊下でつないだ構造をしている。
一見、ありふれた住宅だが、建材は砂を詰めてキャップを閉めたペットボトルだ。それぞれ、重さは約3キロある。レンガのように重ねて泥とセメントで固め、ペットボトルの首をひもで縛って補強もしている。色とりどりのキャップの色は、壁面に独特の味わいを与えている。
プロジェクト関係者は、砂の詰まったペットボトルは一般的な軽量コンクリートブロックより強度が高いと主張する。「防火性、防弾性、耐震性の面でも優れている。室内は常に摂氏18度に保たれ、熱帯気候向きだ」と、プロジェクトコーディネーターのヤハヤ・アフマド(Yahaya Ahmad)氏。支柱を適切に設置すれば、最高で3階建てまで建設できるという。
■CO2排出ゼロのエコ住宅
このペットボトル・ハウス、二酸化炭素排出量ゼロの「ゼロ・エミッション住宅」でもある。太陽光パネルと、人や動物の排せつ物を利用するメタンガス発電で、使用するエネルギーを100%まかなう設計なのだ。
プロジェクトに参加する英国の環境活動家、カトリン・マクミラン(Katrin Macmillan)氏は、「ナイジェリアのごみ問題、エネルギー問題は深刻だ。このプロジェクトは、これらの問題解決に向けた小さな一歩だ」と話した。「埋め立て地に廃棄された場合、ペットボトルが分解されるまでには数百年もかかるのだから」
家は7割ほどまで建設が完了した。完成後は、ペットボトル住宅専門の建築職人を育成する施設として活用される予定だ。最終的に使用されるペットボトルは1万4000本に上るとみられる。大使館やホテル、レストランから大量のペットボトルが寄付され、建設現場に積み上げられている。
■2つの問題を一気に解決、価格も安く
環境専門家によれば、人口1億6000万人のナイジェリアでは、1日300万本のペットボトルが廃棄されている。他方、ナイジェリア当局によると1600万戸の住宅が不足しており、解消するためには45兆ナイラ(約23兆円)もの莫大な予算が必要となる。
ペットボトル住宅は、バシリウ氏によれば一般住宅の4分の1の費用で建設することができる。今回の建設計画にかかる総工費は200万ナイラ(約100万円)と見込まれている。
第二号のペットボトル住宅の建設計画も来年1月に始まる。首都アブジャ(Abuja)近郊のスレジャ(Suleja)で、教室不足の小学校に新たな教室を建設する計画だ。マクミラン氏は「約20万本のペットボトルが入用になる」と語った。(c)AFP/Aminu Abubakar