【11月4日 AFP】南アフリカで密猟の犠牲となったサイの数が過去最悪を記録したと、世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)が3日、警告した。サイの角の需要は闇取引市場で急増しており、今年に入ってから、すでに昨年の333頭を上回る341頭のサイが密猟者に殺害されているという。

 密猟取り締まり当局は、密猟が急増した背景にはアジアの医薬品市場をターゲットにサイの角を密輸する犯罪組織の存在があると指摘する。なかでもベトナムで、サイの角はがん治療に効果があると信じられている。

 WWFでアフリカのサイ保護計画を担当するジョゼフ・オコリ(Joseph Okori)氏は、サイを絶滅から救うためには「南アフリカとベトナム間で暗躍する犯罪組織を明らかにし、永久に壊滅させる必要がある」との認識を示し、南アフリカに倣ってベトナムもサイの角の密猟、取引、密輸、販売に関わったものを逮捕すべきだと語った。

 WWFは前週、ベトナムのジャワサイは絶滅したと発表したばかりだ。最後の1頭が死骸で見つかったという。死骸からは角が切り取られていた。

 ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、Convention on International Trade in Endangered SpeciesCITES)によると、需要の高まりをうけ、サイの角の価格は1本当たり50万ドル(約3900万円)にまで高騰している。(c)AFP

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