クロマグロの販売量、報告漁獲量の2倍 米環境団体調査
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【10月25日 AFP】2010年に大西洋のクロマグロとして販売された魚肉は、重量ベースで正式な漁獲記録の2倍に上っていたことが、18日に米環境NGO「ピュー環境グループ(Pew Environment Group)」が発表した報告書で明らかになった。
貿易統計によると2009年と2010年に取引されたクロマグロは合わせて7万500トン以上だったが、これは大西洋まぐろ類保存国際委員会(International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas、ICCAT)が調べた同じ期間の漁獲量の2倍だった。
今回の報告書を執筆したロベルト・ミエルゴ(Roberto Mielgo)氏は「現在の紙ベースの漁獲量情報管理の制度は不正や情報の誤り、報告の遅れの温床になっている。大幅な改善が必要だ」と指摘する。
ICCATは2008年に漁獲量報告と国別の漁獲量割当の順守を強化したが、クロマグロの記録上の漁獲量と実際の漁獲量の食い違いを防げなかった。ICCATの科学委員会は漁業資源が枯渇する恐れがあると繰り返し警告していたが、2010年になるまでICCATは科学委員会の勧告よりもかなり多い漁獲量を割り当てていた。目標漁獲量が科学委員会の勧告の範囲内に落ち着いたのは、地中海と北東大西洋で1万2900トンと定められた2010年が初めてだった。
11月11~19日にトルコのイスタンブール(Istanbul)で行われるICCAT総会を前に発表されたこの報告書から、クロマグロの漁獲量制限やコンプライアンス強化策がきちんと守られていないことがうかがえる。ミエルゴ氏によると、地中海で捕獲したマグロの稚魚をいけすで大きく育てる「畜養」で、「いけすに運ばれたと報告されたより多いクロマグロが出荷されている」ことが漁獲量のずれの主な原因だという。
ピュー環境グループによると、1998年から2010年にかけて報告されたクロマグロの漁獲高は 39万5554トンだったが、同じ期間に市場に出た量は49万1265トンで、10万トン近く、卸売価格にして約20億ユーロ(約2100億円)の食い違いがある。これらの数字にはクロマグロの闇市場(専門家によるとかなり大きい)や、クロマグロ以外の魚種として流通したものは含まれていない。
ピュー環境グループなどの環境保護団体は、不正が行われやすい紙ベースの記録から、電子タグを使用する方法に速やかに移行するよう呼び掛けている。ピュー環境グループのクロマグロ・タスクフォースのトップ、リー・クロケット(Lee Crockett)氏は、リアルタイムで報告でき、養殖場と船からの情報を速やかに照合することが可能な集中管理型データベースの構築が必要だと話している。
ICCATも原則的にはそのような措置をとる姿勢を示しているが、具体的な実施スケジュールや財源は決まっていない。
ピュー環境グループの報告書はICCATの公式な統計や、日本の税関、米農務省、欧州統計局、クロアチア商工会議所の貿易統計に基づいてまとめられ、2年間にわたって沖合のいけすで畜養されたマグロや、日本にある冷凍マグロの在庫などを2重に計上しないよう処理している。
地中海でとれるクロマグロの約70%は、巾着のような大きな網(巻き網)を積んだ漁船によって産卵のために集まった際に捕まえられている。クロマグロは日本で全体の80%が、米国で全体の9%が消費されている。
今年、国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature、IUCN)は大西洋のクロマグロは絶滅の危機に瀕しており、過剰な漁獲圧力が継続するなか、崩壊する恐れがあると宣言した。(c)AFP/Marlowe Hood
貿易統計によると2009年と2010年に取引されたクロマグロは合わせて7万500トン以上だったが、これは大西洋まぐろ類保存国際委員会(International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas、ICCAT)が調べた同じ期間の漁獲量の2倍だった。
今回の報告書を執筆したロベルト・ミエルゴ(Roberto Mielgo)氏は「現在の紙ベースの漁獲量情報管理の制度は不正や情報の誤り、報告の遅れの温床になっている。大幅な改善が必要だ」と指摘する。
ICCATは2008年に漁獲量報告と国別の漁獲量割当の順守を強化したが、クロマグロの記録上の漁獲量と実際の漁獲量の食い違いを防げなかった。ICCATの科学委員会は漁業資源が枯渇する恐れがあると繰り返し警告していたが、2010年になるまでICCATは科学委員会の勧告よりもかなり多い漁獲量を割り当てていた。目標漁獲量が科学委員会の勧告の範囲内に落ち着いたのは、地中海と北東大西洋で1万2900トンと定められた2010年が初めてだった。
11月11~19日にトルコのイスタンブール(Istanbul)で行われるICCAT総会を前に発表されたこの報告書から、クロマグロの漁獲量制限やコンプライアンス強化策がきちんと守られていないことがうかがえる。ミエルゴ氏によると、地中海で捕獲したマグロの稚魚をいけすで大きく育てる「畜養」で、「いけすに運ばれたと報告されたより多いクロマグロが出荷されている」ことが漁獲量のずれの主な原因だという。
ピュー環境グループによると、1998年から2010年にかけて報告されたクロマグロの漁獲高は 39万5554トンだったが、同じ期間に市場に出た量は49万1265トンで、10万トン近く、卸売価格にして約20億ユーロ(約2100億円)の食い違いがある。これらの数字にはクロマグロの闇市場(専門家によるとかなり大きい)や、クロマグロ以外の魚種として流通したものは含まれていない。
ピュー環境グループなどの環境保護団体は、不正が行われやすい紙ベースの記録から、電子タグを使用する方法に速やかに移行するよう呼び掛けている。ピュー環境グループのクロマグロ・タスクフォースのトップ、リー・クロケット(Lee Crockett)氏は、リアルタイムで報告でき、養殖場と船からの情報を速やかに照合することが可能な集中管理型データベースの構築が必要だと話している。
ICCATも原則的にはそのような措置をとる姿勢を示しているが、具体的な実施スケジュールや財源は決まっていない。
ピュー環境グループの報告書はICCATの公式な統計や、日本の税関、米農務省、欧州統計局、クロアチア商工会議所の貿易統計に基づいてまとめられ、2年間にわたって沖合のいけすで畜養されたマグロや、日本にある冷凍マグロの在庫などを2重に計上しないよう処理している。
地中海でとれるクロマグロの約70%は、巾着のような大きな網(巻き網)を積んだ漁船によって産卵のために集まった際に捕まえられている。クロマグロは日本で全体の80%が、米国で全体の9%が消費されている。
今年、国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature、IUCN)は大西洋のクロマグロは絶滅の危機に瀕しており、過剰な漁獲圧力が継続するなか、崩壊する恐れがあると宣言した。(c)AFP/Marlowe Hood