【10月11日 AFP】マレーシア東部パハン(Pahang)州のリゾート地、クアンタン(Kuantan)で9日、豪資源会社ライナス(Lynas Corporation)のレアアース(希土類)精錬工場開設に抗議するデモが行われた。住民らは、レアアース工場建設は環境被害をもたらすと主張している。

 活動家や住民らは精錬過程で出る放射性廃棄物が投棄されるとの懸念から、かなり以前からライナスの工場開設に反対してきたが、工場の建設は進められている。

 この日、クアンタンの海辺にある公園には、夜明けとともに数千人が集結。「ライナスは出て行け」と書かれたプラカードや反核マークが描かれた傘などを掲げ、「人間万歳」などと叫びながらデモ行進し、政府に工場建設地一帯の保護に動くよう求めた。

 一方、地元警察は、「小規模グループが数時間、平穏にデモ行進した後、解散した」と発表した。
 
 ライナスは、建設中の工場は中国国外では数少ないレアアース工場の1つとなる予定で、安全性の問題はなく、全ての廃棄物は有害物質漏れを防ぐ貯蔵容器に収納すると説明している。

 ライナスは、クアンタンのレアアース精錬工場「Lynas Advanced Materials Plant」(LAMP)を2011年の第3四半期にも稼動させ、オーストラリアから輸入したレアアース鉱石の精錬を始める計画だ。レアアースは米アップル(Apple)の携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」からミサイルまでさまざまなハイテク製品に使われている。

 マレーシア政府は6月、ライナスに工場稼動の前に国際的な安全基準を満たす必要があると通告した。ライナスは全ての基準を満たすと約束した。(c)AFP