【10月8日 AFP】地球上に数百羽しか残っていないフィリピンワシの保護団体「フィリピンワシ基金(Philippine Eagle Foundation)」は7日、以前保護して放鳥した2歳になる雌のフィリピンワシが、前月ミンダナオ(Mindanao)島で体に弾丸を撃ち込まれて死んでいるのが見つかったと発表した。

 同基金のデニス・サルバドール(Dennis Salvador)代表によると、このワシには同基金が電波発信器を取り付けていたため、死体を発見した現地の住民が今週、同基金に持ち込んだという。

 このワシは2010年5月、ある農家の飼い犬を襲おうとしていたところを捕らえられ、同基金に引き渡されていた。けがをしていたため、同基金は治療した上で電波発信機をつけて自然に返していた。

 フィリピンワシは全長約1メートル、「サル食いワシ」とも呼ばれる猛禽類でフィリピンにしか生息していないが、狩猟と森林破壊のために個体数は減り続けている。サルバドール氏によると、世界でも最大、最強のワシの1つだが、個体と生息地の保護を強化しない限り、20年以内に絶滅する恐れがある。

 同基金ではこれまでに人工繁殖で生まれたり、けがを治療したりした6羽のフィリピンワシを自然に帰したが、うち4羽は既に死んだことが分かっている。死んだワシのうち3羽は銃で撃たれていた。

 フィリピンワシはフィリピンの国鳥で、傷つけたり捕獲したりすることは法律で禁じられているが、現在も娯楽や食用目的の狩猟が後を絶たないとサルバドール氏は話している。(c)AFP