遺伝子組み換えトウモロコシを食べる害虫が増殖中、米国
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【8月31日 AFP】ウエスタン・コーン・ルートワームという代表的なトウモロコシの害虫に、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシが出す毒素に対する耐性が広がりつつあり、トウモロコシ生産者にとって新たな脅威となりつつある。
イリノイ大学(University of Illinois)のマイケル・グレイ(Michael Gray)教授(作物科学)は「ウエスタン・コーン・ルートワームは米国で最も多いトウモロコシの害虫で、欧州でも増える可能性がある」と説明する。
これまでのところ耐性の拡大は限定的だとみられているが、専門家たちは耐性を持った害虫がまん延すればトウモロコシ生産者は再び農薬の大量使用を余儀なくされるだろうと警告している。また、害虫が耐性を獲得しにくい方法でGMトウモロコシを栽培する必要があると指摘している。
■2009年に初めて見つかる
トウモロコシ生産者は従来、同じ土地に性質の違う数種類の作物を順番に作付けする輪作を行って害虫被害を防いできた。しかしこの害虫は、トウモロコシと組み合わせて輪作されることが多い大豆にも卵を産むようになったため、農家は農薬を使用せざるを得なくなった。グレイ教授によると、ウエスタン・コーン・ルートワームは頑強で順応性も高く、いくつかの農薬への耐性も持ち始めているという。
米バイオ企業大手モンサント(Monsanto)は2003年、この害虫に強いGMトウモロコシの種を発売した。以降、米国のGMトウモロコシの作付面積は増え、2009年には国内で収穫されたトウモロコシの45%をGMトウモロコシが占めるようになった。
だが、2009年にこの害虫による大きな被害を受けたアイオワ(Iowa)州の4か所のトウモロコシ畑で、GMトウモロコシへの耐性を持ったタイプが初めて発見された。今年はイリノイ(Illinois)州でGMトウモロコシがこの害虫による食害被害を受けた。グレイ教授はここで見つかった害虫がGMトウモロコシ毒素への耐性を持っているかどうか調べている。
前月発表された研究結果では、アイオワのトウモロコシ畑で見つかった害虫は、GMトウモロコシ毒素への耐性を子孫にも引き継いでいることが分かった。
■輪作や「おとり作物」栽培をしっかりと
アイオワ州立大学(Iowa State University)のアーロン・ガスマン(Aaron Gassmann)主任研究員は、「この結果は、害虫の耐性獲得管理を改善するとともに、Bt作物(毒素を出すバチルス・チューリンゲンシスという細菌の遺伝子を組み込んだ作物)の使用にあたって統合的なアプローチを取る必要性を示唆している」と、研究報告書のなかで指摘した。
耐性を持つ害虫が発見された畑では、少なくとも3年連続してGMトウモロコシを栽培していた。このことが、害虫が耐性を獲得する一因になったとガスマン氏は考えている。
さらにガスマン氏は、もう一つの要因として「おとり作物」の作付け不足を挙げた。トウモロコシ農家は、農地の20%に遺伝子組み換えではない普通のトウモロコシを植えることになっている。耐性を持つ害虫が発生しても、耐性を持たない害虫と交配すれば耐性を次世代へ引き継ぐ可能性が減るからだ。
すでにモンサントは、政府が義務付けるおとり作物の栽培を容易にするため、1袋にGMとそうでないトウモロコシの種を混ぜたセットを販売しているほか、耐性を持つ害虫が大量発生した場合に代替となる数種類の作物を販売しており、さらに新品種も開発中だという。
モンサントは耐性を持つ害虫が増えているという研究結果を深刻に受け止めていると話しているが、既存のGM作物は作付けした土地の99%以上で良好な結果が出ているとして、農家が既存のGM作物の栽培を止める理由は何もないと主張している。(c)AFP/Mira Oberman
イリノイ大学(University of Illinois)のマイケル・グレイ(Michael Gray)教授(作物科学)は「ウエスタン・コーン・ルートワームは米国で最も多いトウモロコシの害虫で、欧州でも増える可能性がある」と説明する。
これまでのところ耐性の拡大は限定的だとみられているが、専門家たちは耐性を持った害虫がまん延すればトウモロコシ生産者は再び農薬の大量使用を余儀なくされるだろうと警告している。また、害虫が耐性を獲得しにくい方法でGMトウモロコシを栽培する必要があると指摘している。
■2009年に初めて見つかる
トウモロコシ生産者は従来、同じ土地に性質の違う数種類の作物を順番に作付けする輪作を行って害虫被害を防いできた。しかしこの害虫は、トウモロコシと組み合わせて輪作されることが多い大豆にも卵を産むようになったため、農家は農薬を使用せざるを得なくなった。グレイ教授によると、ウエスタン・コーン・ルートワームは頑強で順応性も高く、いくつかの農薬への耐性も持ち始めているという。
米バイオ企業大手モンサント(Monsanto)は2003年、この害虫に強いGMトウモロコシの種を発売した。以降、米国のGMトウモロコシの作付面積は増え、2009年には国内で収穫されたトウモロコシの45%をGMトウモロコシが占めるようになった。
だが、2009年にこの害虫による大きな被害を受けたアイオワ(Iowa)州の4か所のトウモロコシ畑で、GMトウモロコシへの耐性を持ったタイプが初めて発見された。今年はイリノイ(Illinois)州でGMトウモロコシがこの害虫による食害被害を受けた。グレイ教授はここで見つかった害虫がGMトウモロコシ毒素への耐性を持っているかどうか調べている。
前月発表された研究結果では、アイオワのトウモロコシ畑で見つかった害虫は、GMトウモロコシ毒素への耐性を子孫にも引き継いでいることが分かった。
■輪作や「おとり作物」栽培をしっかりと
アイオワ州立大学(Iowa State University)のアーロン・ガスマン(Aaron Gassmann)主任研究員は、「この結果は、害虫の耐性獲得管理を改善するとともに、Bt作物(毒素を出すバチルス・チューリンゲンシスという細菌の遺伝子を組み込んだ作物)の使用にあたって統合的なアプローチを取る必要性を示唆している」と、研究報告書のなかで指摘した。
耐性を持つ害虫が発見された畑では、少なくとも3年連続してGMトウモロコシを栽培していた。このことが、害虫が耐性を獲得する一因になったとガスマン氏は考えている。
さらにガスマン氏は、もう一つの要因として「おとり作物」の作付け不足を挙げた。トウモロコシ農家は、農地の20%に遺伝子組み換えではない普通のトウモロコシを植えることになっている。耐性を持つ害虫が発生しても、耐性を持たない害虫と交配すれば耐性を次世代へ引き継ぐ可能性が減るからだ。
すでにモンサントは、政府が義務付けるおとり作物の栽培を容易にするため、1袋にGMとそうでないトウモロコシの種を混ぜたセットを販売しているほか、耐性を持つ害虫が大量発生した場合に代替となる数種類の作物を販売しており、さらに新品種も開発中だという。
モンサントは耐性を持つ害虫が増えているという研究結果を深刻に受け止めていると話しているが、既存のGM作物は作付けした土地の99%以上で良好な結果が出ているとして、農家が既存のGM作物の栽培を止める理由は何もないと主張している。(c)AFP/Mira Oberman