【8月29日 AFP】中国各地にある老朽化したダムなどの貯水施設が決壊した場合、都市部の25%以上が洪水の被害を受ける可能性があると警告する記事を26日の中国国営・環球時報(Global Times)が掲載した。

 中国には、耐用年数を超えているにもかかわらず予算不足から数十年にわたって十分な保守管理作業が行われていない貯水施設が4万か所以上ある。

 このため、豪雨などでダムが決壊すれば、都市部の25%以上と広大な農村地帯が洪水になる恐れがあると、環球時報は国営経済誌「中国経済週刊(China Economic Weekly)」の記事を引用して警鐘を鳴らした。

 生態学者らはかねてから、中国に8万7000か所ある貯水施設、特に湖北(Hubei)省の三峡ダム(Three Gorges Dam)の安全性に懸念を示してきた。

 中国では1975年に台風による豪雨で62のダムが決壊し、湖北省に隣接する河南(Henan)省で大洪水が発生。少なくとも2万6000人が犠牲になったうえ、これに続く伝染病の蔓延や飢饉(ききん)でさらに14万5000人が死亡するという悲劇があった。専門家らは、いま大地震があれば、1975年を上回る被害が出かねないと危惧している。

 こうした問題を指摘され、政府も貯水施設を改修し、保水能力を向上させるかつてない規模のプロジェクトを立ち上げ、昨年7月には5400の貯水施設に補強を命じ、今年4月にも貯水施設4万1000か所で改修作業が始まった。

 その一方でかんがい専門家らは、この政府の取り組みも、財政支援不足や地元政府の対応の鈍さなどで順調に進まない可能性があると指摘している。(c)AFP