ビル・ゲイツ財団、途上国向けのトイレに助成金
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【7月20日 AFP】米ソフトウェア大手マイクロソフト(Microsoft)創業者のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が創設した慈善財団ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)が、アフリカで衛生上の大問題となっているトイレの設置事業に巨額の資金援助を行う計画だ。
同財団によると世界の開発途上国では安全で衛生的なトイレを利用できない人は26億人に上っている。
■衛生的なトイレで下痢の死者を4割減
ルワンダの首都キガリ(Kigali)で19日開幕したアフリカ衛生会議(AfricaSan)から、電話で取材に応じたゲイツ財団の衛生プログラム担当ディレクター、Frank Rijsberman氏は、アフリカでは大都市でも「下水につながっている水洗トイレ」を使用している人はひと握りだと言う。
「都市で使われているのは、いわば『空飛ぶトイレ』だ。プラスチック製の袋を持って歩き、その中にして道端に捨てる。気持ちも悪いし、子どもたちがその近くで遊び、排せつ物との接触から慢性的な下痢を引き起こす。5歳以下の子どもだと、下痢はエイズやマラリアよりも死亡率が高い」
同氏は、2010年10月に発生し、ことし6月末までに5500人が死亡したハイチでのコレラの流行は、国連(UN)平和維持部隊の排水方法が不適切だったのが原因だったと指摘し、アフリカやその他の発展途上国で衛生的なトイレを増やせば、下痢によって亡くなる人の数は世界で4割ほど減るだろうと述べた。
■1日5セント以下の画期的なトイレを
ゲイツ財団では、下水道や汚水処理場などに多額の費用がかかる、先進国で一般的な水洗トイレを貧困国で普及させるのは難しいとして、全く新しいトイレを考案する必要があるとしている。
アフリカ衛生会議の機会をとらえ、ゲイツ財団は、排せつ物や汚水を集めて保管し、さらに排せつ物から再生可能エネルギーや肥料を生み出す新技術に4200万ドル(約33億円)の助成金を出すと発表した。すでに、水を使用しないトイレやマイクロ波で排せつ物から燃料をつくるシステムといった案があがっている。
ゲイツ財団が「新たなトイレ」として挙げている条件は、住民1人当たりのコストが1日5セント(約4円)以下で、設置・使用・維持が簡単なことだ。(c)AFP/Karin Zeitvogel