【7月20日 AFP】米自然保護団体コンサベーション・インターナショナル(Conservation International)は18日、ラオスとの国境に接したベトナム北部のプーマット国立公園(Pu Mat National Park)で、絶滅が危惧されているキタホオジロテナガザルの群れを発見したと発表した。

 ほかの地域で小さな群れを発見した実績を持つ調査隊が、キタホオジロテナガザル独特の「甲高く、複雑で、間延びしたような」鳴き声を目安に行った捜索で、標高の高い同公園の森の中に455匹の群れを発見した。キタホオジロテナガザルの「存続可能な」群れが発見されたのは世界で初めて。この群れは、ベトナムの全個体数の3分の2に当たるという。

 キタホオジロテナガザルは、歌で求愛し、パートナーと生涯にわたって連れ添うこともあり、霊長類の中では「最もロマンチスト」と称されることがある。その一方、世界中で絶滅の危機にひんしており、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)の「レッドリスト」によると、個体数は過去45年間で最大80%減少したと見られるという。

 コンサベーション・インターナショナルによると、中国では「実質的に」絶滅したと考えられる。ラオスではかなりの数が存在している可能性があるが、調査が行われていないため状況は不明だという。

 ベトナムでも、生息域の破壊やペットとしての密猟、体の一部に薬理効果があるという迷信などの脅威にさらされているが、国境警備を強化するためのプーマット国立公園内の道路建設計画が「重大な脅威」を招くと、同団体は警告する。

 調査隊を率いたLuu Tuong Bach氏は、次のように指摘した。「プーマット国立公園内の銃規制は不可欠。公園を直接的に保護しなければ、ベトナムのキタホオジロテナガザルが近い将来全滅する可能性は高い」(c)AFP