【7月6日 AFP】世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)は5日、水位が過去最低レベルまで下がったドナウ(Danube)川のブルガリアとルーマニア流域で、野鳥の個体数が激減しているとの調査結果を明らかにした。

 WWFは6月末、1週間に渡ってドナウ流域で野鳥観測調査を実施した。その結果、サギ、ウ、ヘラサギ、トキなどのつがい3145組が確認されたが、これは昨年より500組減少している。また、野鳥の数は、2006年に実施した調査時よりも少ない。

 WWFの「ドナウ・カルパチア・プログラム(Danube-Carpathian Programme)」のコーディネーター、イバン・フリストフ(Ivan Hristov)氏によると、ドナウ川の水位が下がったため湿地が乾燥し、野鳥が巣を作り子育てする場所を見つけられないためだという。フリストフ氏は「これが偶発的な現象ならば長期的には問題ないが、このまま川の水位が下がり続ければ、重大な問題に直面することになるだろう」と懸念する。

 WWFは10年前、ドナウ川が流れるブルガリア、ルーマニア、モルドバ、ウクライナ政府と連携し、総面積93万5000ヘクタールの湿地の保護と22万4000ヘクタールの野鳥生息地の回復を目指した「ドナウ川下流域緑の回廊(Lower Danube Green Corridor)」を立ち上げている。(c)AFP