【6月22日 AFP】東日本大震災の大津波で海に流れ出た大量のごみが、北太平洋を10年かけて一周する漂流の旅に出たとする報告書を、フランスの環境団体「ロバン・デ・ボワ(Robin des Bois、ロビン・フッド)」が発表した。海運や生態系に永続的な被害が及ぶ恐れがあると警告している。

 5月31日付の報告書は、地震と津波で出た推定2500万トンのごみのうち「無数のごみ」が海に流され、漂流を始めていると述べている。
 
 ごみの中には、航空機、船舶、自動車、化学物質の入ったタンクなど、巨大で重たい物体も含まれる。報告書によると、これらの物体が沈んでガソリンや燃料、工業用化学物質などが漏れ出すと、沿岸の環境や漁業にとって大きな脅威となる。

 なお、木くずやプラスチックが集積した分厚い層は、太平洋を1、2年かけて横断したあとは、アラスカ海流に乗って北米西岸を北上するものと、カリフォルニア海流に乗って南下するものの2つに分かれる。報告書は、これらのプラスチックが分解して「プラスチック・プランクトン」と呼ばれる微細な粒子になり、これが食物連鎖に蓄積されていく危険も指摘している。

 米ハワイ大(University of Hawaii)は3月、作成したコンピューターモデルを基に、ごみの第1陣は地震から約1年後にハワイの海岸に到達すると予測している。(c)AFP