【6月17日 AFP】国際自然保護連合(IUCN)は16日、アラビア半島の希少動物で、一時は絶滅寸前となったアラビアオリックス(学名:Oryx leucoryx)の生息数が回復したと発表した。

 アラビアオリックスはアラビア半島の砂漠地帯に住むレイヨウの仲間で、横から見ると角が1本しかないように見えることから、伝説上の動物、一角獣(ユニコーン)のモデルになったとも考えられている。

 狩猟によって激減し、1972年には野生では最後の1頭とみられるアラビアオリックスが射殺された。IUCNの「レッドリスト(Red List)」には「飼育・栽培下で、あるいは過去の分布域外に、個体(個体群)が帰化して生息している状態でのみ生存している種」とされる「野生絶滅」として掲載されてきた。

 しかしIUCNによると、以後40年近く飼育下での繁殖努力を続けた結果、個体数は約1000頭にまで回復した。オマーンでは1982年に、繁殖したアラビアオリックスを野生に返すことに成功した。

 その後もサウジアラビア、イスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)、最近ではヨルダンでも野生に返すことに成功し、今回のレッドリストの見直しで「野生絶滅」3段階上の「絶滅危惧Ⅱ類」に分類された。1度は野生絶滅とされた種が3段階も持ち直したのはアラビアオリックスが初めて。

 アブダビ環境庁のラザン・ハリファ・ムバラク(Razan Khalifa Al Mubarak)長官は「アラビアオリックスを絶滅のふちから救ったことは、まさに自然保護における偉大なサクセスストーリーだといえます。同じことが、絶滅が危惧されている他の多くの動物にも起きてほしいと願っています」と語った。(c)AFP

【参考】国際自然保護連合のアラビアオリックスの解説(英語、PDFファイル)