【6月13日 AFP】サハラ(Sahara)砂漠南縁に位置する西アフリカのサヘル(Sahel)地帯はほとんど雨が降らず、世界で最も農業に向かない土地の1つだが、地元の農家にとって朗報となる「正確な降雨予報」につながるかもしれない研究が、12日の英科学誌「ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)」電子版に発表された。

 サヘル地帯の降雨の8~9割は、熱せられた大地から生じた水蒸気による突然の集中豪雨だ。英、仏、豪の研究者で作るチームは、2006~10年にサヘル地帯で4000件近くの暴風雨を観測した衛星データに着目し、土壌水分に関する衛星データと重ね合わせてみた。

 すると、土壌の湿度に大きな差がある地域で、雨が降りやすいことがわかった。土壌水分の多い地域が幅わずか10~40キロと狭くても、隣接した土地がはるかに乾燥していれば、雨が降るという。この結果は、広域の湿潤地帯と山岳などの条件に基づいた従来の降雨モデルとは著しく異なっている。

 土壌の湿度の差が大きい地帯では、差がほとんどない地帯と比べて暴風雨が起こる確率が2倍高くなる。特に、湿潤地帯の約10キロ風上で、湿った空気が強風に流されて弱い卓越風にぶつかることによって雨が降ることが多いと、英研究者クリス・テイラー(Chris Taylor)氏は語った。

 テイラー氏によると、今回の研究は、気候変動がサヘル地帯にどのような影響を及ぼすかを的確に知る上でも有益だという。(c)AFP