【4月29日 AFP】オーストラリア・シドニー(Sydney)のノーザンビーチ(Northern Beaches)に、マッコウクジラの死骸(しがい)が打ち上げられた。全長10メートル、推定体重12トンという大きさで、尾がなく、かなり腐敗が進んでいる。

 だが、クジラの撤去を困難とする要因が重なったため、死骸はニューポート(Newport)の岩場に打ち上げられてから2日間が経過した28日現在も、そのまま放置されており、当局が対策に苦慮している。
 
 現状について、国立公園・野生動物局(National Parks and Wildlife Service)のクリス・グルドノフ(Chris Grudnoff)氏は地元紙に、「潮の流れが悪い。それにクジラの体長が大きく、状況を困難にしている。風向きが不安定なので、ボートも近づけない」と説明。シドニーでは、これほど大きなクジラの死骸を処理した経験がないため、海洋生物の専門家からの助言を待っているところだという。

 また、別の当局者は、死骸を細かく切断して回収するしか手だてはないかもしれないと話した。
 
 クジラの死因は不明だが、なくなった尾はサメにかみ切られたとみられ、頭部や背びれにもサメの歯形があるという。

 クジラの死骸から流れ出た血がサメを呼び寄せていることから、ノーザンビーチは現在、封鎖されている。

 クジラが浜辺に乗り上げたというニュースは、オーストラリアでは珍しいものではない。だが、たいていは夏季の12月ごろに南部のタスマニア(Tasmania)州周辺で発生し、シドニーではめったに聞かれない話だ。(c)AFP