【3月11日 AFP】国連環境計画(UNEP)は10日、ハチの激減に関する初の報告書を発表し、野菜や果物の受粉に欠かせないハチを保護する国際的な対策が必要だと警告を発した。

 ハチが激減しているのは主に北半球で、欧州ではミツバチの10~30%、米国では30%、中東では85%が死に絶えてしまったという。

 原因は複合的だとされ、農薬や大気汚染、寄生虫、環境破壊、花の咲く植物の減少、欧州で養蜂家が減ってしまったことなどが挙げられている。
 
 UNEPのアヒム・シュタイナー(Achim Steiner)事務局長は「この自然の財産の扱い方次第で、21世紀の人類の未来の一部が決まってくる。世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介している」と訴えた。

 報告書の著者の1人、スイス国立ハチ研究センターのペーター・ノイマン(Peter Neumann)氏は、「多くの原因が相互作用を起こしている。1国では対処不可能なことは明らかで、国際的なネットワークによる世界的な対策が必要だ」と主張している。

 ハチの減少は過去40年にわたって観察されているが、激減し始めたのは90年代後半から。理由は解明されていない。(c)AFP

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