【1月15日 AFP】カナダで天然紅鮭(ベニザケ)が大量死した原因は遺伝的欠陥の可能性が高いとする論文が、13日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。遺伝の欠陥で免疫系が弱まり、ウイルスへの抵抗力がなくなったためと考えられるという。

 ブリティッシュ・コロンビア(British Columbia)州を中心に生息する成魚のベニザケは近年、数を40~95%も減らしており、同州の漁業に深刻な打撃となっているほか、絶滅の危機さえ叫ばれている。

 原因を探るため、研究者らは回遊を無事終えたサケのゲノムプロフィールを調べ、産卵地に到達する前に死んだサケのものと比較した。

 その結果、死んだサケには共通して「代謝と免疫関連のストレスを示す遺伝子シグネチャー」が見いだされた。

 このストレスの原因は特定できていない。だが研究者らは、この遺伝子シグナチャーが産卵地の川に入る前に現れていることから、「サケは川に入る前にウイルスに感染し、産卵地に到達するまでウイルスは生き残っていた」とする仮説を立てている。

 サケが川で大量死したことは、1つの要因では説明できない。だが統計分析によると、死んだサケの大半で、ある一貫した遺伝子群が見られるという。

 ある研究者は、「これらの遺伝子の多くは、ウイルス活性との関連性が知られている生物学的経路の中にあった」と指摘する。

 カナダ太平洋岸のフレーザー川(Fraser River)に戻ってくるベニザケの数は2009年に激減。そのためカナダ政府は原因究明委員会を発足させた。(c)AFP

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