【12月7日 AFP】メキシコ・カンクン(Cancun)で開かれている国連の気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)で2日、化石燃料による二酸化炭素(CO2)排出が海洋環境に与える影響は、海洋生物の繁殖や多様性から漁業までと広範囲にわたり、そのリスクは予想を超えるものだと警告する報告書が発表された。

 報告書は、国連環境計画(UN Environment ProgrammeUNEP)の主導で、英国のプリマス海洋研究所(Plymouth Marine Laboratory)、英国立海洋学センター(National Oceanography Centre)、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)政府間海洋学委員会(Intergovernmental Oceanographic Commission)の海洋学者らがまとめたもの。
 
 CO2は温室効果ガスの最たるもので、毎年、海洋が吸収するCO2は数十億トンに上るが、これにより徐々に海洋の酸性化が進み、数十年後には海洋食物連鎖のいたるところに多大な影響が及ぶと警告している。

 海洋の酸性化が進むとまず影響が現れるのはカルシウムを基盤とする生命体で、最初は微小な有機体や第一次消費者である翼足類など、その後に甲殻類や魚類、サンゴに影響が及ぶ。海洋の酸性化については未知の部分が多く、報告書は、CO2が食物連鎖に与えるリスクにも注視すべきだと警鐘を鳴らしている。(c)AFP