【12月2日 AFP】メキシコのカンクン(Cancun)で開かれている国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)で日本政府代表団が、京都議定書の延長に反対する方針を表明したことに対し、環境保護団体などから非難の声があがっている。

 国際環境団体「地球の友(Friends of the Earth)」は1日、2012年末に期限切れを迎える京都議定書後の新たな枠組みを中心に複雑な議論が交わされている中、日本が極めて端的に延長反対の態度を示したことは、今回の会議に障害を投げ掛けるものだと批判した。

 29日、会議の冒頭に開かれた全体会議で日本は、京都議定書には温暖化ガス排出大国の中国と米国は参加していない点を指摘し、そのうえ新興・途上国も除外されているため不公平であり、結果として同議定書の削減義務国の温暖化ガス排出量は全世界の約30%に過ぎないため、京都議定書を延長することには意味がないと主張した。

「地球の友」の小野寺勇利(Yuri Onodera)氏は、こうした立場をとることで日本は自ら世界から孤立するだけでなく、日本のせいでCOP16の議論が台無しになり、今回の会議で上げるべき成果が上がらなくなる恐れがあると批判する。

■京都議定書延長問題、世界規模の交渉の障害にも

 今回カンクンでは基本的に2つの路線の連携した会議が開かれている。ひとつは米国を含む国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)に加盟する全194か国・地域が集い、2012年以降の世界全体の温暖化対策を話し合うCOP16。もうひとつは京都議定書の締約国だけが参加する京都議定書第6回締約国会合(CMP6)だ。

 こうした中で新興・途上国は、2番目の京都議定書締約国による会合で同議定書の延長が決定された場合にのみ、1番目のUNFCCC全加盟国での合意に参加すると表明している。つまり日本やほかの先進国が京都議定書から離脱した場合、世界規模の交渉の障害となる可能性がある。

 日本に対し、環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)のウェンデル・トリオ(Wendel Trio)氏も「大きく落胆したことは隠しようがない」と失望している。同氏は「しかし欧州連合(EU)は京都議定書の延長に真剣な意欲を見せているし、その立場は日本に影響されるものでない。ほかにもオーストラリアやニュージーランド、ロシアなど延長に賛成する国はたくさんあると思っている」と望みをつないだ。(c)AFP