【10月20日 AFP】温室効果ガスが削減されなければ、30年以内に地球の広範囲が大干ばつに見舞われるおそれがあるとする論文が19日、学術誌「Wiley Interdisciplinary Reviews: Climate Change」に発表された。

 米国立大気研究センター(National Center for Atmospheric ResearchNCAR)の戴愛国(Aiguo Dai)氏は、ノーベル平和賞を受賞した国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」が用いた22のコンピューターモデルによる結果を分析し、温室効果ガスの現行予測に基づいて気温、降水量、湿度などを予測した世界地図を作成した。

 その結果、2060年代までに、東南アジア、オーストラリア、南欧、中東、アフリカの大半、北米・中南米(アラスカ、カナダ北部、ウルグアイ、アルゼンチン北東部を除く)が深刻な干ばつに見舞われる可能性があることがわかった。特に地中海沿岸地域は、かつて例がないほどの乾燥気候になるという。

 論文によると、大干ばつは農業、水資源、観光業、生態系、そして人類の福祉に深刻な影響を及ぼす恐れがある。米国では干ばつによる被害総額が年平均60億~80億ドル(約4900億~6500億円)にのぼっており、1980年代にアフリカでは干ばつにより50万人以上が死亡したという。

 一方で、北欧からロシア、カナダ、アラスカにかけての高緯度地帯およびインドは、湿潤化すると考えられるという。ただし、地球の広範囲における乾燥化を相殺するには不十分だという。

 こうした予測は、温室効果ガス排出量やエルニーニョ現象などの諸要因により、変動する可能性がある。(c)AFP