【9月17日 AFP】フロンガスの使用を禁止したことが功を奏し、成層圏のオゾン層の破壊に歯止めがかかったとする国連(UN)の報告書が16日公表された。オゾン層は今世紀半ばまでに大幅に回復するとしている。

 約300人の科学者による4年分の調査結果をまとめた報告書「Scientific Assessment of Ozone Depletion 2010(オゾン層破壊に関する科学的評価2010年版)」は、フロンガスを全廃するとした1987年の「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」が功を奏し、オゾン層は「2045~2060年までに1980年の水準まで回復する」とした。当初の予測よりは「やや早まった」という。

 オゾン層は、白内障や皮膚がん、植生の破壊にもつながる有害な紫外線に対し、「保護膜」の役割を果たしてくれる。

 南極上空で季節的なオゾンホールの出現が初めて観測されたのは1970年代のこと。1980年代には、フロンガスの影響でオゾンホールが拡大しつつあることが明らかになり、1987年にモントリオール議定書の採択に至った。現在196か国が同議定書に参加している。

 報告書は一方で、南極上空のオゾンホールは、気候変動の影響で出現期間が現在より長くなるか、大きくなる可能性もあるとして、注意を促している。(c)AFP