【8月20日 AFP】米メキシコ湾(Gulf of Mexico)にある英エネルギー大手BPの掘削施設から原油が流出した問題で、米ウッズホール海洋研究所(Woods Hole Oceanographic Institute)の海洋学者チームは19日、油井にふたをかぶせる前の6月下旬に巨大な油の層を観察したと発表し、原油の大半は消散したとする米政府の見解に疑問を投じた。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載された報告によると、海洋学者チームは、海中で長さ35キロ、幅2キロ、厚さ200メートルの油の層が雲状に広がっているのを観察した。

 観察したのは6月下旬で、流出を止めるためのキャップを油井にかぶせる前だったが、科学者たちは、広範囲で分散剤を使用したにもかかわらず、予想以上に油の帯は消えていなかったと指摘した。

 米政府とBPは今月、流出した原油の4分の3は除去されたか、自然分解で消失したと宣言したが、これに対し研究所チームは、深海の微生物による油の分解には時間がかかり、原油はその後もとどまっている恐れがあると警告した。

 また米ジョージア大学(University of Georgia)の研究チームも、政府見解は過度に楽観的な仮定に基づいたものだと批判しており、流出原油の80%は今もメキシコ湾に滞留している可能性があると指摘している。(c)AFP