【7月21日 AFP】中国・遼寧(Liaoning)省大連(Dalian)市の大連新港(Dalian's Xingang Harbour)付近で16日に起きたパイプライン爆発事故で黄海(Yellow Sea)に原油が流出している問題で、国営新華社(Xinhua)通信は20日、中国当局が除去のため石油を分解するバクテリア23トン以上を使用する意向だと報じた。

 事故で流出した原油は1500トンと見積もられており、現場付近では数十隻の原油除去船舶や漁船数百隻が除去作業を行っている。この事故で死傷者は報告されていない。

 新華社が北京(Beijing)にあるバイオ企業の研究開発部門幹部の話として伝えたところによると、中国海事局から17日にバクテリアの発注があったという。新華社は、今回のように環境汚染問題解決のためにバイオテクノロジーが大規模に使われるのは、中国では初めてのことだとしている。

 今回用いられる方法は「バイオレメディエーション」としても知られ、石油に含まれる毒性の高い炭化水素を、微生物で毒性の低い物質に分解するというもの。1989年の米アラスカ(Alaska)州での石油タンカー「エクソン・バルディーズ(Exxon Valdez)」号座礁事故の際にも活用された。

 これまでに少なくとも460トンの原油が除去されたと報道されているが、どれほどの量が流出しているのかについては明らかになっていない。最大流出範囲は当初50平方キロにおよぶとされていたが、20日現在で45平方キロに下方修正されている。

 一方、新華社は、現場周辺海域では暗褐色の原油が少なくとも183平方キロにわたって漂っていると報じている。(c)AFP

【関連記事】中国・大連の原油流出、沈静化の方向へ 長期的な環境影響懸念も