アディ・ギル号衝突の責任所在判断できず、豪海事当局
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【5月10日 AFP】南極海で米環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society、SS)」の超高速抗議船「アディ・ギル(Ady Gil)」号が日本の調査捕鯨船「第2昭南丸(Shonan Maru No. 2)」と衝突して沈没した問題で、豪海洋安全局(Maritime Safety Authority)は8日、日本が調査への協力を拒んでいるため、事故の責任の所在について確たる結論を出すことができないと発表した。
同局は「得られた証拠からは、いずれの船についても、衝突を意図した行為を行ったかどうかを判断することはできない」とし、「運輸上、管轄上の制限から、関係者に対する満足のいく調査ができず、現時点では事実を明らかにし、正当かつ決定的な結論を出すには至っていない」と述べた。 日本側が資料提供を拒んでいる理由として、今後の日本国内での捜査で必要とされる可能性があるほか、捜査に予見が生じることを避けるためだとしていることを明らかにした。同局はアディ・ギル号の乗組員に対し、南極海での航行の危険性について警告し、氷の張った環境でのアディ・ギル号の安全な航行について疑問を呈していた。
一方、衝突はアディ・ギル号による継続的な妨害行為による結果だとする日本の主張については、今回の調査の範囲外だとしている。ただ、日本政府の正式要請により、オーストラリア連邦警察(Australian Federal Police)が予備調査を始めているという。
海洋安全局は、衝突時のビデオ映像からは、第2昭南丸の船長が船を止め、アディ・ギル号の乗組員の状況を確認し、助けを申し出た以外のことは分かっていないとしている。(c)AFP/Amy Coopes