【4月25日 AFP】火山国インドネシアで、膨大な火山活動エネルギーを活用し、地熱発電で世界をリードする野心的な国家計画が進んでいる。同国は2020年までに温室効果ガス排出を05年比26%減とする目標を掲げており、目標達成と経済効果の一挙両得を狙っているのだ。

 約1万7000の島々からなるインドネシアには多くの火山があり、世界の地熱エネルギーの約40%が眠っているとの推計もある。しかし、これらのエネルギーの大半は活用されていない。

 そこで政府は、民間投資や世界銀行(World Bank)、日本や米国などの支援を得て、この眠れる地下資源の開発に乗り出した。インドネシア地熱協会によると、同国の現在の地熱発電容量は1189メガワット。14年までにさらに4000メガワットを増産する計画だ。

■建設は高コスト、完成したら低コストでエコ

 立ちはだかる最大の障壁はコストだ。現在、インドネシアが依存する火力発電に比べ、地熱発電所の建設コストは約2倍。しかも、運用開始までに何年もの研究開発期間を要する。

 その反面、いったん建設されれば無尽蔵な火山活動エネルギーを利用できるため、石炭より低汚染・低コストでの運用が可能となる。すでにインドネシアでは、1982年にジャワ(Java)島カモジャン(Kamojang)に建造された地熱発電所が稼働を開始している。

 25日から同国バリ(Bali)で6日間の日程で開催される第4回世界地熱会議(World Geothermal Congress)には、世界80か国以上から約2000人が集まる。インドネシアはこの機に、低汚染・低コストの地熱発電の利点を売り込み、開発資金を確保したい考えだ。

 エネルギー専門家によれば、発電容量を4000メガワット増やすには総額で120億ドル(約1兆円)の資金が必要。これまでに世銀やアジア開発銀行(Asian Development BankADB)が発表した援助は、4億ドル(約377億円)にとどまっている。(c)AFP/Alvin Darlanika Soedarjo