【4月19日 AFP】豪シドニー大学(University of Sydney)の研究チームは14日、絶滅のおそれがある希少な肉食有袋類に毒ガエルを食べないよう訓練することに成功したと発表した。

 1930年代、オーストラリアに害虫コガネムシ駆除の目的でオオヒキガエルが導入された。オオヒキガエルは生息地を拡大したが、頭にヘビやクロコダイルを殺せるほどの毒が入った袋があるため、これを食べる肉食の有袋類フクロネコの1種、ノーザンクオールの数が減っていた。

 シドニー大の生態学者の研究チームは、食べると気持ちが悪くなる化学物質を注入した小型のオオヒキガエルをノーザンクオールに与え、ヒキガエルを食べないように訓練した。その後タグをつけて野生に戻し調査したところ、訓練をしていない個体に比べ5倍も長生きすることが分かったという。

 研究チームは、訓練の効果が持続すると確認されれば、オオヒキガエルの生息地の手前でカエルに似せた餌を空からばらまき、ノーザンクオールがオオヒキガエルを襲わないようにできるかもしれないと期待している。また同じくオオヒキガエルを餌にしているオオトカゲやアオジタトカゲにも同様の訓練を試したい意向だ。

 論文は英生態学会(British Ecological Society)の発行する「ジャーナル・オブ・アプライド・エコロジー(Journal of Applied Ecology)」誌に掲載された。(c)AFP