【3月30日 AFP】米国内でミツバチの個体数が初めて減少した06年以来、ミツバチの数は下落の一途をたどり、研究者や養蜂家らは懸念を募らせている。

 米農務省のデータによると、ミツバチの数の減少率は07年に32%、08年に36%、09年に29%と、減少傾向が止まらず、蜂蜜の生産のみならず、農作物の生産にも深刻な影響を与えている。約150億ドル(約1兆4000万円)相当もの農作物はが、ミツバチの授粉に生産を頼っているからだ。

 ミツバチが大量に死滅する「蜂群崩壊症候群(Colony Collapse DisorderCCD)」と呼ばれる現象は、米国のほかにも欧州など世界各地で報告されている。

 CCDの原因として、研究者らはウイルス、寄生虫、殺虫剤、栄養不良、環境要因などを挙げているが、これまでのところ決定的な要因はつかめていない。

■大寒波で減少に拍車か

 米メリーランド(Maryland)州にある農務省付属ミツバチ研究所(Bee Research Laboratory)のジェフ・ペッティス(Jeff Pettis)主任研究員は、今冬、米国各地を襲った大寒波がミツバチの減少に拍車をかけるのではないかと危ぐする。

 ミツバチ個体数の今冬の正式データは4月に発表されるが、米養蜂家協会のデビッド・メンデス(David Mendes)会長は、減少率は30~50%に達するだろうと話す。

■最大の要因はやはり殺虫剤?

 CCDについて、メンデス会長は、さまざまな要因が絡まり合った可能性が考えられるとする一方で、最も大きな原因は殺虫剤の使用量増加ではないかとみている。

 米科学誌「Public Library of SciencePLoS)」最新号には、米23州とカナダでミツバチや花粉、巣箱などから採取された887のサンプルから121種類の殺虫剤が検出されたとする調査結果が掲載されている。(c)AFP/Jean-Louis Santini