【3月18日 AFP】インターネットが絶滅が危惧(きぐ)される動物の「バーチャル・スーパーマーケット」と化している――。カタール・ドーハ(Doha)で開催中のワシントン条約締約国会議(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and FloraCITES)で、希少動物の電子商取引が活発化している問題について、専門家らが警鐘を鳴らした。

 関連する法律がインターネット時代に適応していないため、こうした商取引は追跡も摘発も困難だという。

 会議では、動物保護団体「国際動物福祉基金(International Fund for Animal WelfareIFAW)」が2008年に11か国で行った調査の結果が公表された。調査期間はわずか6週間だったが、この期間にネットで取引された希少動物やその派生製品は、表示価格合計で400万ドル(約3億6000万円)近くに上った。

 また、国際取引を禁じる「付属書1」に掲載された絶滅危惧種がネットで取引される数は、毎週、数千個体に上っているという。

 こうした取引の70%は米国で行われ、次いで多いのは中国と英国で各8%だった。

 取引の対象は、生きた動物では外国産の鳥が圧倒的に多く、派生製品では象牙が他を引き離して1位だった。

 中国の調査担当者は、トラの骨を酒につけた「虎骨酒」がネット販売で一大ブームになっていると指摘した。漢方薬として使われるクマの胆汁の取引も同様に活発だという。 

 ネット販売が原因で、絶滅危惧種に指定されていない種が絶滅寸前に追い込まれつつある可能性も報告されている。

 イーベイ(eBay)や中国のタオバオ(Taobao)などの電子商取引大手は、2007年に象牙や生き物の取引を禁止した。しかし、商取引の取り締まりを厳しくしても、例えば「象牙製品」を「世界最大の陸上動物の歯を使った製品」と言い換えるなど、販売の手法は巧妙化している。

 たとえ警察が売人の居場所を突き止めたとしても、問題の製品はすでに売却された後ということもしばしばだという。(c)AFP/Anne Chaon