【3月5日 AFP】二酸化炭素(CO2)より30倍も温暖化効果が強いメタンが、東シベリアの北極海の海底から従来考えられていたよりも急速に漏出しており、地球温暖化を加速する恐れがあるという論文が米科学誌サイエンス(Science)に掲載されることが4日、明らかになった。

 アラスカ州立大学フェアバンクス校(University of Alaska-Fairbanks)のナタリア・シャコーバ(Natalia Shakhova)氏とIgor Semiletov氏が率いる国際研究チームが2003~08年にかけて約200平方キロある東シベリアの北極海の大陸棚を調査したところ、調査海域の深海水の80%以上と表層水の50%以上で、メタン濃度が通常の約8倍になっていることが分かったという。

 陸上の永久凍土のメタン放出については従来から研究されていたが、海底からの放出についてはあまり研究されていなかった。

 論文によれば専門家の間で、東シベリアの北極海大陸棚の海底にある永久凍土層には大量の炭素が含まれており、その炭素がメタンの形で大気中に漏出すれば気温が上昇して、さらに永久凍土層からのメタン放出を促進するという正のフィードバックを引き起こし、急激な気候変動が起きる恐れがあると懸念されている。(c)AFP