【2月12日 AFP】南極海で活動中の日本の調査捕鯨船団からの連絡によると、同船団の妨害活動を行っている米環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation SocietySS)」の小型ボートから酪酸入りの瓶が12日未明ごろ投げ込まれ、酸の飛沫(ひまつ)を浴びた日本側の乗組員3人が皮膚に痛みを訴えるなどの軽傷を負った。

 平野博文(Hirofumi Hirano)官房長官は同日の記者会見で、「けしからん話だ。幸いにも大きな被害になっていないが、極めて遺憾だ」と述べた。赤松広隆(Hirotaka Akamatsu)農林水産相も同様に、強い怒りを表明した。

 一方、シー・シェパード側は、日本側に負傷者が出たという報道について否定している。同団体のウェブサイトでは「酪酸は悪臭のする物質だが、接触した場合に皮膚などに異常が生じることはない」としている。

 シー・シェパードの抗議船「スティーブ・アーウィン(Steve Irwin)」号のポール・ワトソン(Paul Watson)船長は「(日本側と)対峙(たいじ)した5時間は非常に緊張した事態だったが、衝突はなく、負傷者もなかった」と語っているという。

 しかし、調査捕鯨を行っている日本鯨類研究所(Institute of Cetacean ResearchICR)は、同号と同じく抗議船の「ボブ・バーカー(Bob Barker)」号もくり返し、ワイヤーロープをくり出し、発射機を使って酪酸入りの瓶を日本の船団に発射したと述べ、3人のけがは酸の飛沫による化学性のものだと主張している。(c)AFP