【1月22日 AFP】世界最高峰エベレスト(Everest)登山のガイド役を務めるネパールのシェルパたちが、リスクを冒して標高8000メートル以上での清掃登山を計画している。

 1953年のエドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)卿とシェルパのテンジン・ノルゲイ(Tenzing Norgay)氏による初登頂以来、エベレストに登頂した登山者はおよそ4000人に上る。だが環境活動家によると、彼らの遠征で出たゴミや遭難者の凍結遺体は放置されたままだ。

「エベレストは美しさを失いつつある。頂上には今や酸素ボンベや旗、ロープ、古いテントなどが散乱しているし、少なくとも2体の遺体が何年も放置されている」と、今回の清掃登山計画のリーダー、ナムギャル・シェルパ(Namgyal Sherpa)さん(30)。これまでに7回登頂したという彼をはじめ、2トン以上のゴミを片付けるための清掃登山に参加するのは、いずれもエベレスト登頂経験豊かな20人の熟練シェルパたちだ。

 エベレスト清掃登山は過去にもたびたび行われているが、標高8000メートル以上の「デスゾーン(死の領域)」での清掃は史上初めてだという。

 登山は4月末に開始され、デスゾーンを何度も往復しながら1往復につき15キロずつゴミを回収していく予定。計画にはネパールの首相も賛同しており、現在登山に要する1500万ルピー(約2900万円)の寄付金集めが行われている。

■「ゴミ持ち帰り義務」の盲点

 ネパール観光当局によると、エベレスト登山者にはゴミをすべて持ち帰ることが義務づけられており、遠征には監視のために複数の政府職員も同行するが、彼ら自身は頂上まで登れないこともあり、監視は甘くなってしまうという。

 ナムギャルさんは、「登山を通じて、政府や登山者に対し、エベレストを保護することの大切さを伝えたい。エベレストは世界に1つしかないのだから」と語った。(c)AFP/Deepesh Shrestha