【12月30日 AFP】再保険大手の独ミュンヘン再保険(ミューニックリー、Munich Re)は29日、自然災害のコストに関する年次評価を発表した。2009年の自然災害は比較的少なかったものの気候変動は依然として脅威であり、国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)第15回締約国会議(COP15)の失敗により、将来的に自然災害のコストが増加するとしている。

 2009年の自然災害コストが前年に比べ大幅に低かった要因としては、全般的に大きな災害が少なかったことや北大西洋のハリケーンシーズンが穏やかだったことが挙げられるという。

 今年の自然災害による死者数は「約1万人」で、過去10年の平均である7万5000人を大きく下回った。今年最も死者数が多かった災害は9月30日にインドネシア・スマトラ(Sumatra)島パダン(Padang)沖で発生したマグニチュード(M)7.6の地震で、死者は約1200人だった。

 今年のアジアは台風も相次ぎ、フィリピン、ベトナム、台湾で数千人が死亡するなどの大きな被害が出た。

 金額ベースで見ても、09年の自然災害による損失は過去に比べて大幅に少なかったという。今年の経済的コストは500億ドル(約4兆6000億円)で、損失補償額は220億ドル(約2兆円)だったと試算されている。

 一方で、ミューニックリーでジオリスク調査チームを率いるPeter Hoeppe氏は、気候関連の大災害は増加傾向にあると話している。別の同社幹部も天候による大規模な自然災害は1950年比でほぼ3倍に増えたことを指摘し、COP15が失敗に終わったことに失望感を示した。(c)AFP/William Ickes