ノルウェー、養殖サケにシラミ感染が拡大 天然サケへの影響懸念
このニュースをシェア
【12月25日 AFP】ノルウェー人のクリスマス休暇の食卓にサーモンは欠かせないが、そのノルウェーで養殖サケの寄生虫感染が急増しており、関係者は天然サケへの感染拡大を懸念している。
この寄生虫は、「海シラミ」の一種のサケジラミ(Lepeophtheirus salmonis)で、サケの皮や粘膜に寄生する。人体への害はなく、通常は輸送や加工の段階で自然に除去される。
だが、今秋の養殖サケのサケジラミ感染が昨年の3倍に増えており、ノルウェーのフィヨルドに点在するサケ養殖業者の間で、急増するサケジラミへの懸念が広がっている。
「養殖サケだけでなく天然サケへの影響を考えると、サケジラミの問題はノルウェーの養魚業継続への大きな危機だ」と、ノルウェー食品安全局(Norwegian Food Safety Authority)のOle Fjetland氏は危ぐする。養殖場では海中に沈めた養殖用のおりの中で多数のサケを育てるため、サケジラミが繁殖しやすい環境にある。
業界を代表するノルウェー水産物連盟(Norwegian Seafood Federation)のKetil Rykhus氏は、「サケジラミ自体は対処できるので問題ではない。われわれが恐れるのは、他のサケにもシラミが感染することだ」と話す。
強い海流に乗ったサケジラミや、養殖場の網から逃げ出したサケによって、天然のサケがサケジラミに感染することが最大の懸念だ。特に、春に河川から海まで移動する銀化したサケ(スモルト)は、成長したサケよりも脆弱(ぜいじゃく)で、天然資源管理当局によると、サケジラミに感染したスモルトの割合が15~20%に達しているフィヨルドもある。国際海洋探査委員会(International Council for the Exploration of the Sea)によると、天然サケの固有数は1970年の半数にまで激減しているという。
サケジラミ急増の原因は不明だが、海水の汚染や酸性度の上昇、水力発電用ダムの建設、天然サケの遺伝子プールが弱くなったこと、すでにサケジラミに感染した養殖サケによる繁殖などが、要因として挙げられている。
サケ養殖はノルウェーの主要産業で、2008年のサケ輸出収入は25億ユーロ(約3300億円)に上る。こうしたことから、養殖業者らは今年、サケジラミ撲滅対策に6000万ユーロ(約79億円)を費やした。新たなサケジラミ対策は、スモルトの大移動が始まる前の翌年初頭にもスタートする。(c)AFP/Pierre-Henry Deshayes
この寄生虫は、「海シラミ」の一種のサケジラミ(Lepeophtheirus salmonis)で、サケの皮や粘膜に寄生する。人体への害はなく、通常は輸送や加工の段階で自然に除去される。
だが、今秋の養殖サケのサケジラミ感染が昨年の3倍に増えており、ノルウェーのフィヨルドに点在するサケ養殖業者の間で、急増するサケジラミへの懸念が広がっている。
「養殖サケだけでなく天然サケへの影響を考えると、サケジラミの問題はノルウェーの養魚業継続への大きな危機だ」と、ノルウェー食品安全局(Norwegian Food Safety Authority)のOle Fjetland氏は危ぐする。養殖場では海中に沈めた養殖用のおりの中で多数のサケを育てるため、サケジラミが繁殖しやすい環境にある。
業界を代表するノルウェー水産物連盟(Norwegian Seafood Federation)のKetil Rykhus氏は、「サケジラミ自体は対処できるので問題ではない。われわれが恐れるのは、他のサケにもシラミが感染することだ」と話す。
強い海流に乗ったサケジラミや、養殖場の網から逃げ出したサケによって、天然のサケがサケジラミに感染することが最大の懸念だ。特に、春に河川から海まで移動する銀化したサケ(スモルト)は、成長したサケよりも脆弱(ぜいじゃく)で、天然資源管理当局によると、サケジラミに感染したスモルトの割合が15~20%に達しているフィヨルドもある。国際海洋探査委員会(International Council for the Exploration of the Sea)によると、天然サケの固有数は1970年の半数にまで激減しているという。
サケジラミ急増の原因は不明だが、海水の汚染や酸性度の上昇、水力発電用ダムの建設、天然サケの遺伝子プールが弱くなったこと、すでにサケジラミに感染した養殖サケによる繁殖などが、要因として挙げられている。
サケ養殖はノルウェーの主要産業で、2008年のサケ輸出収入は25億ユーロ(約3300億円)に上る。こうしたことから、養殖業者らは今年、サケジラミ撲滅対策に6000万ユーロ(約79億円)を費やした。新たなサケジラミ対策は、スモルトの大移動が始まる前の翌年初頭にもスタートする。(c)AFP/Pierre-Henry Deshayes