【12月24日 AFP】メキシコ東部の観光リゾート・カンクン(Cancun)の約100キロ沖で、ダイバーたちがターコイズブルーの海に潜り、同地の名物の味として観光客に人気のコンク貝を探している。

 ただ、これは観光客を喜ばせるためではない。彼らは、ユカタン半島(Yucatan Peninsula)沖のぜい弱な水界生態系における地球温暖化の影響を調査しているのだ。

 コンク貝(学名:Eustrombus gigas)はこの海域に原生する大型巻き貝の一種だが、この10年間に主に地球温暖化の影響により、生息環境は深刻なほど悪化している。この日、研究者らは、コンク貝の捕食や生殖パターンを追跡するため、採取した約60個にICチップを取り付ける作業を行った。

 14ヘクタールにも及ぶこの広大な海域の調査は、メキシコのシンベスタブ(Cinvestav)科学研究所とフランス国立科学研究センター(National Center for Scientific ResearchCNSR)の資金援助で、仏、メキシコ、豪の研究者ら8人が参加して7年前に始まった。

 研究は、海水温の変化がコンク貝にどのような影響をどの程度与えたかを見極めることを目的としている。また、スペイン征服時代以前の標本から、約1500年前の温暖化時の水温の変動を割り出す作業も行っている。

 コンク貝は絶滅危惧(きぐ)種ではないものの、乱獲に脅かされている。その肉は食用として、美しいピンクの貝殻は装飾品として、世界中に輸出されている。(c)AFP/Veronica Ocampo Veronica Ocampo