【12月9日 AFP】気候変動は既に人々を移住に追い込んでいるとする報告書を、国連(UN)の国際移住機関(International Organization for MigrationIOM)が8日発表した。

 報告書は、具体的な人数は明らかにしていないものの、「気候変動や環境の悪化に起因した人間の大規模な移住は既に起こっている」とし、移住先については「富裕国へ押し寄せるという予想には反して、国内他所や隣国」であると説明している。

 エチオピア、マリ、ブルキナファソ、セネガルでは、干ばつの際には「必ずと言っていいほど」大規模な移住が発生しているという。

 報告書は、セネガルのタンバクンダ(Tambacounda)州の例を挙げている。ここでは、干ばつに関連した移住が最初は地域レベルで発生し、その後隣国への移動も始まった。

 近年、自然災害の被災者数は2倍以上に増えたが、被災地から他国への長距離の移住がそれに応じて増えているわけではない。

 だが、今後地球温暖化の影響を受ける人と地域が増えることが予想されるため、報告書は、貧困国が移住問題に対処するにあたり国際社会が資金援助する必要が出てくるだろうと述べている。

 また、移住先となる豊かな国々では、環境に起因した移住に対処するための政策が「ないに等しい」と懸念を示している。

 国連難民高等弁務官事務所(UN High Commissioner for RefugeesUNHCR)は、環境的要因により故郷を逃れた人は世界で推定2400万人にのぼっているとの試算を発表している。(c)AFP