【12月4日 AFP】英国の地球温暖化の研究者が書いた電子メールが流出し、地球温暖化に懐疑的な人々の間から温暖化の脅威が誇張されていた証拠なのではないかとの声が上がっている。

 この問題は、世界有数の温暖化の研究機関、英イースト・アングリア大学(East Anglia University)の気候研究ユニット(Climatic Research UnitCRU)のネットワークにハッカーが侵入し、フィル・ジョーンズ(Phil Jones)同所長など研究者たちが書いた数千通の電子メールが前月にウェブサイトに掲載されたというもの。

 ジョーンズ所長が書いた個人メールの1つは、「気温低下を隠すため」気温の統計データに手を加えた「トリック」が使われたことに言及しているとされ、温暖化の科学的根拠に疑問を投げかけるものだとして騒ぎになっていた。

 ジョーンズ氏は前月30日、温暖化は発生していて人為的なものだとするデータを科学者たちが隠そうと、電子メールを文脈から切り離していると反論し、調査が終わるまで所長職から退くと発表した。

■米下院でも議論

 この問題は3日、米下院でも取り上げられた。米国の気候懐疑派の代表格である共和党のジェームズ・センセンブレナー(James Sensenbrenner)下院議員はエネルギーの自給と温暖化問題に関する委員会で、イースト・アングリア大のデータは国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change IPCC)でも使われていると指摘し、「メールが本物だとすると、気候変動に関する科学すべてに対して疑問が及ぶ」と付け加えた。

 多数の共和党員を含む温暖化に懐疑的な人々は、地球の気温は自然に上昇したもので、温室効果ガス削減の施策にかかるコストは米産業界に過大な負担をかけると主張している。(c)AFP